第303話 昭和?

文字数 671文字

 とりあえず「昭和」と括られる時間を過ごしてきた一人として、あの頃をちょっと回顧してみよう。懐古趣味、蚕、カイコ、糸を引き引き。

 なんかね、電柱が思い浮かぶんです。灰色の空、モノトーンですね、そんな空のこっち側に、電柱が一本。電線も、横に伸びてます。

 地面は、土っぽい。土じゃないんだけど、まだ土のなごりがあります。
 アスファルトになっていたはずなんですけど、どうも土っぽいんですね。

 で、なんだか子ども達が、わいわい、わいわいでもないんですけど、なんだかいるんです。何やってるんだろう。おかっぱ頭、半ズボン。

 回覧板が回ってきて、隣の家に持って行くと、そこのおばさんがお菓子をくれたりして。
 ニコニコして、大人は子どもに寛容な感じです。ややこしげなじーさんもいましたが、それも景色の一つに見えます。

 ステレオで、大音量で音楽かけても、苦情はそんな、来なかったですね。
 赤ん坊の泣き声も、親が子を叱る怒鳴り声も、平気で聞こえて、まぁ、何だったのでしょう。

 そんな、きれいな家は、なかったような気がします。
 あっても、まぁ、どうでもいいというか、私が子どもだったせいでしょうか。

 いやいや、なかなか、言葉にできませんね。全体、なんですよ。漠然とした、空気みたいな。
 たぶん、今が、個々に生きてるような感じですから、余計そう見えるのかもしれません。

 なんかね、「人」が、いたような気がするんです。

 しかも、何でしょう、生きてる人が。いた気がするんですよね。

 過ぎてしまえば、みんな、そう見えるんでしょうか。

 その過去になるを生きてるはずなのに。
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