第313話 不安な満足

文字数 659文字

 奈良にいる必要もなくなりそうだ。来年の春、鬼の笑う四月辺りが、関東にもし引っ越すとすればその機会になりそうだ。
 家を売る、また引っ越し先を探す。面倒だなぁ、死にてえなぁと思うが、仕方ない。
 来週も東京と埼玉、川を隔てて行ったり来たりする。やるべきこと、行って、必要とされるかのごとくであるのは、いいことだ。
 単なる自己満足でない、複なる自己満足。それぞれに、満足が行けばいい。

 しかし奈良… 離れれば、ここもいい所だった、となるのだろう。
 どこに行っても、一人では生きて行けない。基本はひとりだとしても、パートナーもいるし、息の続くかぎり生活をやっていくことになる。
 まったく、何で生きてるんだろうねえ。

 こないだ夜行バスで着いた東京、空気が、… 精神的な肌触りが、何か違った。揺られたせいでなく、「人が動いている」ことが強く感じられた。
 懐かしさより、現実、「今ここ」が動き、動き続けているなぁと感じた。先月も行ったばかりという、時間のせいだったろうか。
 しかし先のことを想うとつらい。どのくらい先か? 先に、制限はない。不安は無限だ。
 近間の「予定」を一つ一つ、やっていくしかない。しないこともできる。しようとし、することもできる。さしあたり、後者を選びたい。

 尊重すること、人を尊重すること。このことについて、こないだから随分思うところがある。
 尊重するということ…
 尊重したいとする自己(我欲)があり、尊重したいとする対象(人)がある。
 この両者が、互いにそれで嬉しくあれば、ユートピアのひとつ、できあがり。
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