第137話

文字数 1,414文字

 たぶん戦争について何か書くことは、「人間」とか「世界」について書くことだから、自分の内面に向かって書きたいという、ぼくのやりたい内容とは違うかもしれない。
 が、内に向かって書くも、外に向かって書くも、それを観じている自分がいることには変わらない。
 その「自己」について書くことには変わらない。
 外面を着飾ることは簡単だ、美辞麗句、「こう書けば批判を浴びないだろう」一般論、KY(!)に気をつけ、

なことを書いておけば、恋愛論も戦争論も一丁あがりだ。いいね!もたくさん付くかもしれない、「共感しました!」の言葉をもって。ああ、そういう文を書いてみたい、それもほんとに才能なのだ。ほんとに大変なことだと思う。
 そっちへ行けない自分としては、内/外の中点にあるはずの、自分のことを書くことになる。「自分のことしか考えていない」ということになる。それでいいのだ、仕方ない、と、どこか喜びながら思っている。

 しかしまったく、戦争というのは、なくならない。なくならないものを、なくそうとするのは不可能だ。でも、考えることはできる。何故そうなるのか、と考えることができる。で、考えたい、ということだ。
 もう、打ち明けてしまえば、先日、ひょんなことから、ノベルデイズの作者さまと、「戦争について考える」というお題で、それぞれ、何か書きましょう、というようなことになった。
 自分自身、ずっと、これは書きたいことだった。「課題文学賞」に書いている時も、今こんなこと書くより、戦争について何か書きたい、と思った。デイズの課題文学で、戦争を止める知恵を募集すればいいのに、などとも思った。それが今、いちばん必要なものだろうと思った。
 が、何もこれは「今」に限ったことでない。たしかに、今まで、ヒトという生物は、どんなときでも、それを繰り返してきた。これは、ヒトとして、考えつづける、つづけることが、大事なことだろう、というふうに思えてきた(その作者さまとのやりとりを通じて)。
 で、とにかく、まぁ、書いてみよう、ということになったのだ。「戦争について考える」というタグを付けて。
 ほんとに、ここ(ノベルデイズ)に参加して、よかったと思う。でなければ、このようなことにはならなかった。ほんとに、感謝、です。作者さまの存在。

 話は逸れるが、こないだラジオで、ヨット冒険家?の、堀江謙一さんがいろいろ喋っていた。84歳になった今も、またヨットで世界一周みたいなことを考えていらっしゃるような感じで、アナウンサーが質問し、答える中で、「お酒にしても何にしても、ムリをしないことです」という言葉が印象的だった。
 進行役が、「えっ。冒険というと、ムリをしていく、というイメージがありますが」みたいなことを聞き返すと、「いえいえ、しませんしません」。
 この堀江さんという人にとって冒険は自然なことで、けっしてムリはしない、という応答が、聞いていて、すごいなぁと思った。
 そう、ムリをしては、つづくものも、つづかない…。

 ヒト個人の一生なんて、100年がせいぜいだ。でもヒトという歴史は、この地球がある限り、たぶん続いていく。だいぶ傷ついているかもしれないけれど、なるべく長生きしてほしい。地球さんにとって人間なんて、蚊ほどの歴史しかないかもだけど。
 戦争について書くのは、ほんとにしんどい作業だと思う。が、だから、語弊はあるが「楽しく」、やっていきたいと思う。
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