第181話

文字数 565文字

 風呂に入る時、死にたいって何だろうな、という想念が。
 いじめで自殺。ずいぶん前、このニュースは大きく報道されたものだった。
 今はどうだ? まるで、またかになってやいないか。
 悲惨な事件が、日常茶飯だ。
 暗い中にいたら、目は慣れてしまうんだろうか。

 ぼくも、いじめられたといえば、いじめられた。でも、死にたいとは思わなかった。荒れたクラスを、何とかしたい、妙な正義の気持ちが、強かった。ずいぶん過去になって、あれは自己正当化だった、と思うようにもなった。
 ムシャクシャして、その捌け口を他人に向ける。いわゆる「不良」と呼ばれる人には、事情がある、と思うようにもなった。

 さて、それで?だ。
 さて、それでだ… 結局何も変わらない、といってしまうのがイヤで、ひとりで気を強く持ったところで。
「一生じゃ、ムリさ」。吟遊詩人の言葉が、沁みるようになった。
 いい世を見たい。これも、恣意じゃないか、と思うようになった。
 で、思いを、見るようになった。

 ラジオでは、高校講座、「論語を読む」とかやっていて。
「思いやり」とかいっていて。
 重い槍か、と思ってみたりもする。
 孔子先生、元気だな。
「この世に役立てる機会を与えてくれた、両親に感謝して、云々」みたいなことをいう。
 この世の、役に立つ。
 何の役にも立たぬ私は、どうしたらいいのでしょう。
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