第297話

文字数 437文字

 しかしほんと、何のために生きてるのかと思うよな。
 これはもう、生きてる間中、たえずあり続けることだよ。

 そして答えなんかない。

 まあ、暖かくなったら、徳島にでも行くんだね。
 なんで徳島?

 そりゃ、会おうよ、って言ってくれる人がいるんだから。
 お前みたいな奴にだよ。ありがたいことじゃないか。
 もう我々も、会えるうちに会っとかないと… ってね。
 その通りだ。ちょっと前まで、俺ら、17歳だったのになあ。

 ほんとは今月、行きたかったが。
 バス代とか高くなるんだよな、師走と一月。
 いやあ、早いもんだよ、まったくなあ。
 こないだまで、こんな小っちゃなガキだったぜ。
 
 最近、こないだ東京行ってから、死のことをよく考えるよ。
 オレもだよ。
 みんな、死のことを考えないのかな。
 考えても仕方ないことは考えないんだよ。

 考えちゃうから、仕方なくて考えちゃうんだが。
 困っても仕方ないのに、困っているわけだ。
 生きてるな、お前。いいことだよ。
 死んだら、そんなに困ることもできないよ──
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