第347話

文字数 444文字

 人間は、自分自身との関係である!
 すなわち、世界は自分自身との関係である。
 他人がいる。かれが、何かわたしに害を及ぼしたとする。だがかれは、わたしの命を奪うほどの効力はない。かれは、なぜならピストルも殺傷ナイフも手にしていないからだ。
 斯くしてかれは、かれの「害」はわたしが肥大化し膨張させた「かれ」であり、すなわちわたしとわたしの関係からなる「害」であり「かれ」なのだ。
 かれから受けたわたしの心象、こいつはすでにかれではない。わたしの(・・・・)かれである。かれをもった(・・・・・・)わたしとわたしの関係である。
 この意識を、自意識、いわば自々意識、これを強く意識し、日常の「イヤな」人間と対すること! そいつには顔がある、足もある。何か言う。だが、ただそれだけなのだ。
 肝心なのは、肝要なのは── そいつと対する自分と自分との関係なのだ。何を恐れ、何を気に病む必要がある?
 自己確立! 立脚点! ああ、これこそわたしに最も必要な、三度のメシより大事な、何をおいても先に、優先し、身につけるべきものだった! 
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