第113話

文字数 376文字

 親は子に、定職に就くよう望む。なるべく、

企業に。
 親は子に、なるべく

学校に行かせようと望む。
 だが、よく鏡を見るがいい。
 その親は、自分の安心のために、子にそれを望むのだ。
 そして言う、勝ち誇ったように言う、「あなたのため」。
 自己欺瞞は、もう()めよ。
 自分のために、すぎないのだ。
 その

は、どこから取って付けた

なのかね?
 手放せ、手放せ。
 解放せよ。自己を解放せよ!

 

ダンナであれとか、

奥様であれとか
 本人まで、そうあろうとして、欺瞞を重ねていく
 その

は、だれのための

なのかね?

 それだと不安だって? 捉われていたいんだって?
 まるで病院へ行って、病名を付けられて安心するようなものだ。
 不安も安心も、自分でつくるものだろう?
 あたかも愛と憎しみが、自分でつくるものであるように。

 手放せ、手放せ。
 手放せ、手放せ!
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