第232話 ニコニコ伝染

文字数 901文字

 やぁ、暑い、暑い。

 タバコを買いに行く。そしてその他諸々の食料などを。

 往復1時間も歩けば、それなりに汗をかく。暑いのは、もうしょうがない。

 蒸し器の中にいるような感じで歩いていると、この夏、この暑さを乗り切れるのか、という気持ちになる。つまり、不安という気持ちに。

 これも仕方のないものだ。どこにいたって、何か考えて、不安になるんだ、私ゃ。

 タバコ屋のお姉さんはいつも感じが良い。買ってくれるのが嬉しいのか、僕と会えるのが嬉しいのか(んなこたぁない)、どうもありがとうございます、と素敵な笑顔でいつも言ってくれる。

 で、こちらも、どうもありがとうございます、と言う。

 目を合わせて笑い合える、ありがたい場所がタバコ屋である。僕にとっては。

 この頃は、スーパーマーケットなんかでも、レジの人にありがとうございましたと言われた後、僕もありがとうございます、と言うようにしている。

 丁寧な店員さんだと、僕がありがとうございますと言うと、もう一度、ありがとうございます、と言ってきたりする。ありがとうを言ってくれてありがとう、という感じで。

 ぶっきらぼうな店員さんだと、いらっしゃいませもありがとうも言わない場合もある。そういう人にだと、こちらもちょっとありがとうを言いにくいが、なるべく言えるようになりたいと思う。

 なるべく、笑顔で。

 そうした方が、なんだか気持ち良い気がするからだ。

 埼玉に行った時、ほかほか弁当を買ったのだが、最初は特に無表情な感じの店員さんが、僕がニコニコして(マスクをしてたけど)受け取る時、ニコニコ笑ってくれた、気がした。

 僕は「のり弁当」が食べれることが嬉しくて、自然に笑顔になっていたと思う。また、それと同時に、その店員さんもニコニコしているのを見て(なんで彼女がニコニコしていたのか、ほんとの理由は知らないけれど)、こちらも嬉しくなった。

 何か、こちらが自然とニコニコしていると、相手もニコニコしてくれる、そしてこちらもまたニコニコするという、そんな場面がよくある。

 きっと、作り笑いでもいいのだ。笑う、ニコニコする。これがいいのだ。

 頭がおかしい人、と思われぬていどに。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み