第58話 ランキングなんて

文字数 1,088文字

 一昨日だったか、この「戦時下にて」がこのランキングのいちばん左上にあった。見た瞬間、うわ、ヤバイ、こわい、と感じたのが、正直な感想。これは、一年くらい前に「創作と投稿の覚え書き」で、やっぱりその位置にあるのを見た時とほぼ同じ気持ちだった。あの時は、まだ嬉しさも半分位あったけれど、やった!などと喜べない気持ちがどうしても強い。
 結局ぼくは「上下」がキライなのだ。それにこのランク付けが公正とも思えない。ただ、あるんだ、と思う。ただあるだけのものに、一喜一憂する、捉われる自分が、もっとイヤだ。
 といって、全く読まれなかったり、評価されないというのも、つらいものがある。でも、やはりそういうものに捉われず、書きたいことを書くこと、これが何よりの原点だと思う。

 こういう、順位みたいなものが、モチベになるのも、全然いい── いいもわるいも、そんなの書き手のかってで、とやかくいわれるスジアイのものでない。ぼくも、あのヒトに負けたくない、そんな気持ちになった時もあった。それが創作意欲に繋がる時もある。でもそれは自分が理想とする創作の姿勢ではない。こういう、「他者から成り立とう」とする自分を、超えていきたい。そう、ぼくはあくまで「マイペース」でいきたいのだ。

 自分の書いたものが、目立つような位置にいると、恥ずかしい。この恥ずかしさは、自分が書くものは、誰でも書ける、と思っているからだ。何もぼくでなくていい、その必要はどこにもない。話を飛ばせば、セザンヌは誰でも描けるような絵を、しかしセザンヌにしか描けないように描いた。あれはあの画家の特異な才だったと思う。あれは、ほんとうにすごい。ところが、セザンヌなんかを話に出して申し訳ないが、ぼくは、単なる五十路の、助平な男にすぎない。小心で、ばかなことばかり考えている、ほんとにばかな男なのだ。そして理想だけは高い。自分が卑小だから、そうなる。

 たぶんこのサイトは、書き手がそんな多くない。四、五人の、速読な人がいれば、一日に更新された作品を、ぜんぶチェックできるんじゃないかと思ったりもする。もし「公正」、ヒトに主観がある以上それはムリなことだが、公正なランク付けがあるとするなら、それがせめて近づける方途のように思えなくもない。でも、そんなこといっても仕方がない。
 だれかが上に行ったら、だれかが下に行く。そういうのが、イヤだとする自分である以上、どうしようもない。自分が、しっかりすることが、なにより先決。流されず、流れず、マイペースで。こうして、また自分に帰っていく。でもほんとに、読んで下さって、ありがとうございました。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み