第112話 みんな誰でも

文字数 228文字

 自分を愛している。自分しか愛せない。
 それでいいのだ。自分を愛せない人間が、他人を愛せるわけがない。自分を大切にできない者が、他人を大事にできるわけがない。
 ところで、その自分というものが「無い」としたら?
 実存(主義・哲学)というもの、その起こりが、他物に比して「無目的な存在=人間」であるとしたら。
 自分と思っている自分は、無きにも等しい。
「無」であるから、さまざまなものを受け容れ、そこから個々に自分の人生の物語をつくっていく、かのようである。
 
 
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