第109話

文字数 449文字

 今まで、自分は生み落とされたと
 自分から、生まれてきたわけではないと
 そう思ってきた。
 不本意。無理。と思ってきた。
 が、そうではなかった。
 と考えてみよう。

 実際、そうなのだ。
 自分から、生まれてきたのだ。
 それだけの、ちからが、あったのだ。
 と思ってしまおう。

 だから「私」の横に
 いつも、もう一人、自分がいた。
 客観、と換言してもいい
 そいつはいつも「私」の横にいて
 この人生の舞台
 ここで、恋をしようとか
 ここで、跳ねてみようとか
 着地しよう 落ち着こうとか
「私」をあやつってきたけれど

 どこか「私」は冷めていて
 横にいるそいつが
 気になって仕方なかったのだ。

 そいつと一緒に生きていこう
 興奮したり 夢中になったり
 ワレヲ ワスレルこと あっても
 こいつのことは忘れずに

 こいつをいつも味方につけて
 一緒に遊ぼう
 だって、ずっと一緒にいたし
 敵であるわけがない

 こいつはゲームを楽しんで
「私」をあやつりまくる

 喜んで
 あやつられて
 一緒に遊ぼう

 この世での
 最期のとき、来る
 その日まで
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