第256話 私のダイモーン(4)

文字数 1,192文字

 直近では、スマホのことがある。SNSで自分の書いたものをアッピールするという、そういった営業活動(!)が大切です、と何かのサイトにあったからだ。

 そうだろうなぁと思う。

 でも、私には抵抗がある。スマホを持ってTwitterやらLINEやら、そういうことをすることに。

 で、しない。

 した方がいい、と確かに分かっているつもりだが、それ以上に確かに、不確かだけれど確かに、「しない方がいい」という私の知らない私に従っている。

 これは何とも、理由のない反抗だ。私の中の客観から見れば、抗っている、かのように見える。だが、私は私に従っているだけなのだ。

 不便を感じることも多い。QRコードでどうのこうのとか、アプリでどうのこうのとか、それをやればトクをする場面に少なからず逢着する。ちょっと悔しい思いもするが、仕方ない。

 ──────────────

 自意識、私の中の鏡を見れば、目つきが悪くなった?ような気がする。ほんわかと、もともと少しタレ目であった気がするが、だから柔和な印象を相手に与えていたかもしれないが、何かキビシク、なってしまったような気がする。

 だが元々、怒っても怒っていないように見られる始末だったから、そんな険しい顔になっていないかもしれない。

 これも仕方ない。これが今の顔なんだ、私の。

 あとはどうとでも受け止めよ、他者たちよ。

 ── 私は矛盾している。盾と矛が、私の中にあるだけだ。いいではないか、それで。矛だけ、盾だけになるほうがよっぽど恐ろしい。私はそんな、人に害を及ぼす人間でないよ。そんな人間になりたくない。「やめろ」と私のダイモーンが必ず言ってくるだろう。言ってこなければ、それもそれだけの話だ。

 しかしダイモーン、私自身がダイモーンそのものになってしまったら、何もしなくなる…? いやそれは、断じてそんなふうにはならない。なれない。

 主体。たぶん私は主体的な動物なのだ。ダイモーンは、私の主体の、日常をいとなむ私の主体の、おそらく重要な場面にあらわれるだろう。

 その「重要」は、たぶん私の知らない重要であろう。

 そうだ、私が私のダイモーンについて考えた時、私は今のような何か落ち着いた精神状態になった。

 それまでの過程はある。兄の、「あ、ソクラテス、そうだったんですか」と、「~するな」というダイモーンの声について私が話した時の、兄の意外な反応。こないだ会った、絵を描く友達との時間。ツレアイの実家で、義父母と、また東京駅で義姉と会った際の私の態度等、過ぎたことを思い出す。

 その過ぎている時間の真っ最中に、私はどのような私であったか、何が私に引っ掛かったか。ぜんぶが、今に至る過程である。

 ぜんぶが私の、私を知るというような、今に至るきっかけだった。

 で、また変化していく… のかな。

 それもヨシだ。そりゃ、ずっと今に留まっているわけにいかないからね。
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