TWELVE 朝ご飯、塩味と甘味とどっち?
文字数 782文字
僕らは必ず朝ご飯を食べる。
白米、お味噌汁。
お味噌汁は具沢山のものにしておけばそれだけでおかずになるしそれに縁美 は15歳の春からこれがずっと口癖だ。
「お味噌汁を食べると行き倒れにならないんだよ、蓮見 くん」
おばあちゃんの遺訓らしい。
でも、毎日体力勝負の仕事をしているとすごくリアルに感じる。
「あ。煮豆?」
「そう。金時豆」
「そして、かぼちゃの甘煮?」
「うん。ごめんね、蓮見くん。甘いお惣菜かぶっちゃって。でも作り置きがこれぐらいしか残ってなくて」
「ううん。ありがとう。朝に糖分取れば脳が目覚めるよね」
「そうだね。昔ながらの献立って合理的だよね。ウチのスーパーでもこういう感じの和食を作るための食材コーナーとか設けて普及活動やってるけど・・・なかなか今の世の中みんな忙しいもんね」
「縁美、っていうぐらいだから塩味 が好みってわけじゃないの?」
「もう、蓮見くん。何年一緒に暮らしてるの?わたしが甘いおかずはとことん甘ーく味付けするの分かってるでしょ?」
そうなのだ。
一緒に暮らし始めるまでの15年間はそれぞれ別々の家庭で別々の味付けの食事で育ったので互いの味覚を擦り合わせるまでがかなり大変だった。
実は甘い味付けは僕の味覚に縁美が歩み寄ってくれた結果なのだ。
「塩味」
「ごめん。わたしを呼ぶ漢字が間違ってるよ」
うわ。
鋭い!
「縁美も自分の好きなおかずどんどん朝ご飯に取り入れてね」
「わたし、ほんとは漬物を食べたいの」
「あ。そっか。縁美のおばあちゃん、大根の漬物大量に作ってたって言ってたね」
「うん。畑で取れたのをもう、大きな樽に丸ごと漬けて・・・おいしかったなあ」
「じゃあ、作ってみる?」
「大変だよ、すごく」
「でも、お店で売ってるのじゃその味は出ないんでしょ」
「そうだね」
縁美はよく漬かった漬物の味みたいな深いことを言った。
「今の世の中、漬物まで甘いんだもん」
白米、お味噌汁。
お味噌汁は具沢山のものにしておけばそれだけでおかずになるしそれに
「お味噌汁を食べると行き倒れにならないんだよ、
おばあちゃんの遺訓らしい。
でも、毎日体力勝負の仕事をしているとすごくリアルに感じる。
「あ。煮豆?」
「そう。金時豆」
「そして、かぼちゃの甘煮?」
「うん。ごめんね、蓮見くん。甘いお惣菜かぶっちゃって。でも作り置きがこれぐらいしか残ってなくて」
「ううん。ありがとう。朝に糖分取れば脳が目覚めるよね」
「そうだね。昔ながらの献立って合理的だよね。ウチのスーパーでもこういう感じの和食を作るための食材コーナーとか設けて普及活動やってるけど・・・なかなか今の世の中みんな忙しいもんね」
「縁美、っていうぐらいだから
「もう、蓮見くん。何年一緒に暮らしてるの?わたしが甘いおかずはとことん甘ーく味付けするの分かってるでしょ?」
そうなのだ。
一緒に暮らし始めるまでの15年間はそれぞれ別々の家庭で別々の味付けの食事で育ったので互いの味覚を擦り合わせるまでがかなり大変だった。
実は甘い味付けは僕の味覚に縁美が歩み寄ってくれた結果なのだ。
「塩味」
「ごめん。わたしを呼ぶ漢字が間違ってるよ」
うわ。
鋭い!
「縁美も自分の好きなおかずどんどん朝ご飯に取り入れてね」
「わたし、ほんとは漬物を食べたいの」
「あ。そっか。縁美のおばあちゃん、大根の漬物大量に作ってたって言ってたね」
「うん。畑で取れたのをもう、大きな樽に丸ごと漬けて・・・おいしかったなあ」
「じゃあ、作ってみる?」
「大変だよ、すごく」
「でも、お店で売ってるのじゃその味は出ないんでしょ」
「そうだね」
縁美はよく漬かった漬物の味みたいな深いことを言った。
「今の世の中、漬物まで甘いんだもん」