209 NINE 忘年会と忘日会ならどっち?
文字数 1,192文字
「蓮見 さん、すまないね。いつもは職人仲間で忘年会やるんだけど・・・今年は無理だな」
「仕方ないですよ」
迫田 さんから聞かされて残念な反面、頑固職人との宴会が無くなってホッとしてもいる。
けど、爆弾娘が居たんだった。
「蓮見さん。忘日会 やらない?」
「えっ」
真直 ちゃんの世界に引き摺り込まれた。
「蓮見さーん。せっかくふたりでやろうと思ってたのにぃ」
「(僕はそこまで自信家じゃない)皆一緒の方が楽しいだろうから」
「は、蓮見どの・・・・・掛け捨ての保険に入っておくべきではないかね?」
「絵プロ鵜 。町内のソフトボール大会とかの500円ぐらいで入るスポーツ保険みたいな?」
「そ、そうさね・・・・・身の危険を感じるさね・・・・」
「ひゃひゃひゃ。絵プちゃん心配し過ぎ!ね?縁美 さん?」
「わたしも絵プロ鵜ちゃんに同意だな」
店へ案内するっていう真直ちゃんに僕ら3人はのこのこついて行った。
「ま、真直どの・・・こんな寂しい場所に宴会の店なんてあるのかね?」
「だいじょうぶだいじょうぶ」
僕らは大通りから小路に分け入った。電柱はいつの間にか木製で、街灯も暗いオレンジ色の電球だった。
細い道の両脇には長屋造りの建物や戸が半壊した小屋があって、踏み込んではいけない世界のようだった。
「ここだよ」
真直ちゃん空き地で止まった。
錆びたコンテナが一個、どん、と置かれている。
「コンテナを使ったお店?おしゃれだね」
縁美の度胸に驚きつつ店に入る。
「いらっしゃいませ」
中央のテーブルに女の人。
黒のタートルネック、艶の無い黒のパンツ、靴は黒と見間違える濃紺のハイヒール。
その人を囲むように座った。
「真直。誰から総括すればいいの」
「そうだねえ」
総括?
「ま、真直どの、こ、この人は?」
「神降 のサエさん」
「な、な、な、神降って?」
「お静かに」
サエさんは、いつの間にか銀盆のような鏡を前に置いていた。
「あなた」
「な、なにかね?」
「あなたの今日はまずまずだったわ。でもこの場所が嫌みたいね。減点だね」
絵プロ鵜が脂汗を流している。
「あなた」
「は、はい」
僕の番だ。
「あなた、今日も仕事をひとつ、またひとつと覚えたわね。よき日よ。安心して眠りなさいね」
「は・・・・い・・・?」
最後は縁美みたいだ。
「あなたは・・・人助けしましたね」
「いいえ」
「したのよ」
「いえ、特にしていません」
「・・・・・・それがあなたの『徳』ね。あなたがすることは自然と人を助けてるの。客商売でしょう?今日もお客さんから感謝されてるわよ」
「そうでしょうか」
「そうよ。あなたは悪意をついぞ持てない。仮に意地悪な気持ちでやったことでも人を助けるのよ。今日もあなたはよき日だったわ」
これで終わりかと思ったら。
「真直」
「はぁい」
「今日もお客さん連れて来てくれて毎度ありがとう。誰よりもあなたにこそ幸運を」
?
「みんな、会費一人3,000円ね、ひゃひゃひゃ」
「仕方ないですよ」
けど、爆弾娘が居たんだった。
「蓮見さん。
「えっ」
「蓮見さーん。せっかくふたりでやろうと思ってたのにぃ」
「(僕はそこまで自信家じゃない)皆一緒の方が楽しいだろうから」
「は、蓮見どの・・・・・掛け捨ての保険に入っておくべきではないかね?」
「
「そ、そうさね・・・・・身の危険を感じるさね・・・・」
「ひゃひゃひゃ。絵プちゃん心配し過ぎ!ね?
「わたしも絵プロ鵜ちゃんに同意だな」
店へ案内するっていう真直ちゃんに僕ら3人はのこのこついて行った。
「ま、真直どの・・・こんな寂しい場所に宴会の店なんてあるのかね?」
「だいじょうぶだいじょうぶ」
僕らは大通りから小路に分け入った。電柱はいつの間にか木製で、街灯も暗いオレンジ色の電球だった。
細い道の両脇には長屋造りの建物や戸が半壊した小屋があって、踏み込んではいけない世界のようだった。
「ここだよ」
真直ちゃん空き地で止まった。
錆びたコンテナが一個、どん、と置かれている。
「コンテナを使ったお店?おしゃれだね」
縁美の度胸に驚きつつ店に入る。
「いらっしゃいませ」
中央のテーブルに女の人。
黒のタートルネック、艶の無い黒のパンツ、靴は黒と見間違える濃紺のハイヒール。
その人を囲むように座った。
「真直。誰から総括すればいいの」
「そうだねえ」
総括?
「ま、真直どの、こ、この人は?」
「
「な、な、な、神降って?」
「お静かに」
サエさんは、いつの間にか銀盆のような鏡を前に置いていた。
「あなた」
「な、なにかね?」
「あなたの今日はまずまずだったわ。でもこの場所が嫌みたいね。減点だね」
絵プロ鵜が脂汗を流している。
「あなた」
「は、はい」
僕の番だ。
「あなた、今日も仕事をひとつ、またひとつと覚えたわね。よき日よ。安心して眠りなさいね」
「は・・・・い・・・?」
最後は縁美みたいだ。
「あなたは・・・人助けしましたね」
「いいえ」
「したのよ」
「いえ、特にしていません」
「・・・・・・それがあなたの『徳』ね。あなたがすることは自然と人を助けてるの。客商売でしょう?今日もお客さんから感謝されてるわよ」
「そうでしょうか」
「そうよ。あなたは悪意をついぞ持てない。仮に意地悪な気持ちでやったことでも人を助けるのよ。今日もあなたはよき日だったわ」
これで終わりかと思ったら。
「真直」
「はぁい」
「今日もお客さん連れて来てくれて毎度ありがとう。誰よりもあなたにこそ幸運を」
?
「みんな、会費一人3,000円ね、ひゃひゃひゃ」