183 EIGHTY-THREE ぼっちとビッチならどっち?
文字数 1,096文字
「
「ダメ」
僕が個人事業主の大工である
「蓮見さん・・・・・・わたしは毎日学校が終わった後も真っ直ぐ家に帰ってきておじいちゃんの仕事を手伝ってる・・・・・・・しかも高校の土木建築科には女子がほとんど居ないから友達もいない・・・・その寂しいわたしが蓮見さんを兄のように慕うのがそんなに迷惑?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・長居はダメだよ」
「やった」
一応晩御飯をウチのアパートで食べるっていう了承を迫田さんに頂いて2台の自転車で並んで走る。
「ああ。いい風!」
「真直ちゃん。学校で誰とも喋らないの?」
「まあ・・・・・・・孤独な少女ですから」
なんだろう。
この虚構感は。
「おーい!真直ーっ!」
あれ?
学生服を着て自転車に乗った男子の集団。
「おー、みんな!今帰り?」
「今帰りじゃねえよ!なんだあの釘は!」
「ひゃひゃひゃひゃ。びっくりした?」
「真直!テメエが作業場の上に紐で引っ掛けた箱から釘が落ちて来るのはいつものことだからまあいい。だが五寸釘なんかどこから調達しやがったんだ!」
五寸釘!
「ひゃひゃひゃ!集中してない証拠だね!現場では常にあらゆる事態を織り込み済みで対応しないとね!」
「ま、真直ちゃん?」
「蓮見さん!逃げるよ!」
ママチャリを立ちこぎでダッシュする彼女。
男子学生は10人。
僕も真直ちゃんの後を追って全力で自転車を走らせる。
「この、ビッチが!」
「バーカ!ビッチってのはエッチとセットだよ!わたしのは単なるいたずらだから!」
「悪逆ビッチが!」
逃げ切った。
「はっ、はっ、はっ・・・・・真直ちゃん。これはなんなんだい?」
「わたしはぼっちだから」
「自業自得だよね」
よく分からないけど、男子を完全にコケにして毎日を過ごしてるらしい。
この子を
「ええと。迫田さんのお孫さんの真直ちゃん」
「こんにちは縁美さん」
「真直ちゃん。いつも蓮見くんがお世話になってます」
「へえ・・・・・・・・」
「?なに?」
「美人でいいね」
「?ありがとう?」
「それに背、高いね」
「・・・・・ありがとう」
「毎日えっちなことしてるの?」
「え?」
僕は目を伏せる。
「真直ちゃん」
「なんですか」
「えっちなこと、してるよ。蓮見くんと毎日」
「!」
「え、縁美?」
縁美が片側の口角だけ引き上げて笑った。
「だから、横取りしないでね」
「縁美さんでビッチだね」
「真直ちゃんもね」
ビッチの定義が分からない。