222 寒波と猛獣、襲来ならどっちがマシ!?
文字数 1,080文字
雪が降り出した。
年末年始は寒波襲来の予報だったので慌てることはなかったけど。
「蓮見 くん、ただいま」
「お疲れ様、縁美 。どう?スーパーの方は」
「もう大盛況で大変。ウチは鮮魚もウリだから小さな子たちがね、『今夜は手巻き寿司パーティーなの!』とか言ってるのを見ると嬉しくて」
「そっか・・・で、大晦日のためのお菓子も買って?」
「もちろん!『大晦日だけは好きなお菓子を好きなだけなの!』とか喜んじゃって」
「あとほら」
「そう!雪も急に降ってきたから子供たちはもう、大変!喜んで喜んでもう!」
「かわいいよね」
「うん・・・・・」
僕の仕事は今日までだけど縁美は明日の大晦日もスーパーで売りに売りまくる。
明日に備えて僕は縁美の顔をマッサージしてあげる。
「ごめんね。蓮見くんも疲れてるのに」
「これが結構楽しみなんだ」
「マッサージが?」
縁美は疑惑の目を僕に向けるけど、決して過度のスキンシップに持ち込もうという下心じゃない。まあたまにそうなってしまうこともあるけど・・・純粋に縁美の目尻の周りや頬骨のあたりやリンパ近くの骨周辺の乳酸をほぐしてあげると、自分がほぐされた時のあの心地よい感覚を僕まで疑似体験できるから。
「ありがとう。もういいよ」
「そう?もうちょっと」
「あ・・・・」
と。
やめ時かな。
縁美にだってそういう欲求があるから、そっちにシフトしたら却って疲れさせてしまう。
その後、風邪の予防にと柿を剥いた。
果実はしっかりしてて、くっきりとゴマ模様があって甘味がとても強かった。
「ああ。しあわせだな・・・」
縁美でなくとも甘いものを食べると幸福を感じる。
テレビでは年末特番でMUJINAっていう実物大アスレチックゲームをアスリートばりの様々な職業の一般の方たちが全クリア目指す番組をやってた。思わずふたりして引き込まれる。
「蓮見くん。明日は大晦日だね」
「早いよね・・・明日の帰りは何時ごろ?」
「閉店の後始末とかも結構かかるから遅くなるかも」
「そっか。遅いんだ」
縁美の帰りが遅いと聞いて何かココロに引っかかるものがあった。
なんだろう。何か恐るべきものを忘れているような・・・・・
「あっ!」
「あっ!」
ふたりして叫んでしまった。
「ま、真直 ちゃんが!」
「来る!」
災厄 の襲来としか思えなかった。
女子高生と僕が部屋に二人きりという懸念を僕も縁美もしているわけじゃない。
真直ちゃんという生物に僕が一人で対峙することに危機感を抱いている。
「どうしよう」
これも縁美と僕は同時に言った。
僕は思案に思案し、スマホを開いた。
蓮見:明日の大晦日ウチに来ない?
絵プ:行くさね!
年末年始は寒波襲来の予報だったので慌てることはなかったけど。
「
「お疲れ様、
「もう大盛況で大変。ウチは鮮魚もウリだから小さな子たちがね、『今夜は手巻き寿司パーティーなの!』とか言ってるのを見ると嬉しくて」
「そっか・・・で、大晦日のためのお菓子も買って?」
「もちろん!『大晦日だけは好きなお菓子を好きなだけなの!』とか喜んじゃって」
「あとほら」
「そう!雪も急に降ってきたから子供たちはもう、大変!喜んで喜んでもう!」
「かわいいよね」
「うん・・・・・」
僕の仕事は今日までだけど縁美は明日の大晦日もスーパーで売りに売りまくる。
明日に備えて僕は縁美の顔をマッサージしてあげる。
「ごめんね。蓮見くんも疲れてるのに」
「これが結構楽しみなんだ」
「マッサージが?」
縁美は疑惑の目を僕に向けるけど、決して過度のスキンシップに持ち込もうという下心じゃない。まあたまにそうなってしまうこともあるけど・・・純粋に縁美の目尻の周りや頬骨のあたりやリンパ近くの骨周辺の乳酸をほぐしてあげると、自分がほぐされた時のあの心地よい感覚を僕まで疑似体験できるから。
「ありがとう。もういいよ」
「そう?もうちょっと」
「あ・・・・」
と。
やめ時かな。
縁美にだってそういう欲求があるから、そっちにシフトしたら却って疲れさせてしまう。
その後、風邪の予防にと柿を剥いた。
果実はしっかりしてて、くっきりとゴマ模様があって甘味がとても強かった。
「ああ。しあわせだな・・・」
縁美でなくとも甘いものを食べると幸福を感じる。
テレビでは年末特番でMUJINAっていう実物大アスレチックゲームをアスリートばりの様々な職業の一般の方たちが全クリア目指す番組をやってた。思わずふたりして引き込まれる。
「蓮見くん。明日は大晦日だね」
「早いよね・・・明日の帰りは何時ごろ?」
「閉店の後始末とかも結構かかるから遅くなるかも」
「そっか。遅いんだ」
縁美の帰りが遅いと聞いて何かココロに引っかかるものがあった。
なんだろう。何か恐るべきものを忘れているような・・・・・
「あっ!」
「あっ!」
ふたりして叫んでしまった。
「ま、
「来る!」
女子高生と僕が部屋に二人きりという懸念を僕も縁美もしているわけじゃない。
真直ちゃんという生物に僕が一人で対峙することに危機感を抱いている。
「どうしよう」
これも縁美と僕は同時に言った。
僕は思案に思案し、スマホを開いた。
蓮見:明日の大晦日ウチに来ない?
絵プ:行くさね!