123 カクとヨムならどっち?
文字数 1,303文字
「蓮見 どの。頼みがあるのさね」
「いやだ」
「まだ何も言ってないのだが!」
「まあまあ蓮見くん、絵プロ鵜ちゃん」
先般の救急搬送で迷惑をかけたお詫びということで絵プロ鵜 が僕と縁美 に鶏鍋を奢ってくれてるんだけど、まさか最初からこれを餌にするつもりだったのか?
「蓮見くん、一応聴いてみようよ。絵プロ鵜ちゃん、蓮見くんに頼みって?」
「原作を書いて欲しいのさね」
僕と縁美は一人用の小さな鍋をそのまま煮えくり返してしまうかもしれないぐらいに固まってしまった。
「え、絵プロ鵜ちゃん?それってどこに描く漫画の?」
「月刊紙に新連載するやつさね。編集さんからオファーが来てるさね」
「絵プロ鵜」
「なにかな蓮見どの」
「僕は勤め人だ」
「いかにも」
「仕事がある」
「大丈夫さね。ぬかりはないさね」
「どういう意味?」
「LINEでいつも通りの会話の感じで送信してくれればいいさね。後は某 が膨らませるさね」
「絵プロ鵜。無理だ」
「できるさね」
「素人だ」
「某とて4コマ漫画は素人さね」
「?4コマ漫画なのかい?」
「いかにも。キャラは決まってるさね。不誠実な男子中学生・カリロウ。誠実な女子中学生・エプロウ。大胆な男子高校生・ダイダン。繊細な女子高生シュクシュク」
既に破綻しているだろう。
「絵プロ鵜。その設定で僕に原作を書けと?」
「簡単さね。いつもどおりの厳しくも冷徹な文章を某のLINEに流してくれればOKさね」
「絵プロ鵜ちゃん、蓮見くんのLINEの特徴、ものすごく的確に把握してるんだね」
「いやあ」
なにが『いやあ』だ絵プロ鵜め。
「原作料は一話あたり5万円でいかがでござろう」
「5万円!?」
「あいや。安すぎるでござろうか」
「いや・・・そんなことない、けど・・・・・訊いていい?」
「なんなりと」
「絵プロ鵜の収入っていくら?」
絵プロ鵜だとしても失礼な質問だとは思ったけど、本音を言えば。
絵プロ鵜は住んでるアパートの水準から言っても儲かってるとは思えなかった。もちろん僕らより低いってことはないだろうけど老後の蓄えまでできるほどの余裕は現時点ではないんじゃないかな、って思った。
でも。
「こんなもんでござる」
ぱっ、と右手のひらを大きく開いた。
まあ、そんなもんなんだろうな、って納得しかけた途端、
「ぱ」
「えっ」
「ぱ・ぱ」
「えええ?」
「ぱ・ぱ・ぱ・ぱ・ぱ」
「うわお」
縁美が普段なら絶対に言わない感嘆詞をつぶやいてる。
それほど驚くぐらいに現金のひと単位を示す手のひらを倍々で出し続けた。
「・・・・・・・僕みたいなショボいのじゃなくって、もっと有名な原作家を探した方がいいよ」
「蓮見どのがいいのだ、某は」
「どうして」
「どうしてでも・・・でござる」
「でもなあ・・・・・」
「絵プロ鵜ちゃん」
「なにかな?縁美どの」
「原作者の名前って、クレディットされるの?」
「もちろんでござる」
クレディット。
つまり、僕が本を出すってこと?
共著ってこと?
「いかがでござるかな?蓮見どの?」
「・・・・・話を聴きたい」
「了解でござる。今夜にでも編集さんに連絡を入れてみるさね。ところで蓮見どの」
「なに」
「不誠実な男子中学生・カリロウは蓮見どのがモデルさね」
「やめるぞ?」
「いやだ」
「まだ何も言ってないのだが!」
「まあまあ蓮見くん、絵プロ鵜ちゃん」
先般の救急搬送で迷惑をかけたお詫びということで
「蓮見くん、一応聴いてみようよ。絵プロ鵜ちゃん、蓮見くんに頼みって?」
「原作を書いて欲しいのさね」
僕と縁美は一人用の小さな鍋をそのまま煮えくり返してしまうかもしれないぐらいに固まってしまった。
「え、絵プロ鵜ちゃん?それってどこに描く漫画の?」
「月刊紙に新連載するやつさね。編集さんからオファーが来てるさね」
「絵プロ鵜」
「なにかな蓮見どの」
「僕は勤め人だ」
「いかにも」
「仕事がある」
「大丈夫さね。ぬかりはないさね」
「どういう意味?」
「LINEでいつも通りの会話の感じで送信してくれればいいさね。後は
「絵プロ鵜。無理だ」
「できるさね」
「素人だ」
「某とて4コマ漫画は素人さね」
「?4コマ漫画なのかい?」
「いかにも。キャラは決まってるさね。不誠実な男子中学生・カリロウ。誠実な女子中学生・エプロウ。大胆な男子高校生・ダイダン。繊細な女子高生シュクシュク」
既に破綻しているだろう。
「絵プロ鵜。その設定で僕に原作を書けと?」
「簡単さね。いつもどおりの厳しくも冷徹な文章を某のLINEに流してくれればOKさね」
「絵プロ鵜ちゃん、蓮見くんのLINEの特徴、ものすごく的確に把握してるんだね」
「いやあ」
なにが『いやあ』だ絵プロ鵜め。
「原作料は一話あたり5万円でいかがでござろう」
「5万円!?」
「あいや。安すぎるでござろうか」
「いや・・・そんなことない、けど・・・・・訊いていい?」
「なんなりと」
「絵プロ鵜の収入っていくら?」
絵プロ鵜だとしても失礼な質問だとは思ったけど、本音を言えば。
絵プロ鵜は住んでるアパートの水準から言っても儲かってるとは思えなかった。もちろん僕らより低いってことはないだろうけど老後の蓄えまでできるほどの余裕は現時点ではないんじゃないかな、って思った。
でも。
「こんなもんでござる」
ぱっ、と右手のひらを大きく開いた。
まあ、そんなもんなんだろうな、って納得しかけた途端、
「ぱ」
「えっ」
「ぱ・ぱ」
「えええ?」
「ぱ・ぱ・ぱ・ぱ・ぱ」
「うわお」
縁美が普段なら絶対に言わない感嘆詞をつぶやいてる。
それほど驚くぐらいに現金のひと単位を示す手のひらを倍々で出し続けた。
「・・・・・・・僕みたいなショボいのじゃなくって、もっと有名な原作家を探した方がいいよ」
「蓮見どのがいいのだ、某は」
「どうして」
「どうしてでも・・・でござる」
「でもなあ・・・・・」
「絵プロ鵜ちゃん」
「なにかな?縁美どの」
「原作者の名前って、クレディットされるの?」
「もちろんでござる」
クレディット。
つまり、僕が本を出すってこと?
共著ってこと?
「いかがでござるかな?蓮見どの?」
「・・・・・話を聴きたい」
「了解でござる。今夜にでも編集さんに連絡を入れてみるさね。ところで蓮見どの」
「なに」
「不誠実な男子中学生・カリロウは蓮見どのがモデルさね」
「やめるぞ?」