243 ゆく年と来る年ならどっち?
文字数 1,407文字
大晦日の夜、真直 ちゃんの襲撃に備えて(半分騙して)絵プロ鵜 をアパートに呼んだんだけど・・・僕も絵プロ鵜も更に意表を突かれた。
「従妹の捻美 だよ。4歳。ひゃひゃひゃ」
真直ちゃんが大陸間弾道弾だとしたら捻美ちゃんは最新鋭のドローン爆撃機だろう。
超小型核搭載の。
「ぬ、ぬおおお!?」
「ほらほら絵プちゃーん。捻美を侮ってると死んじゃうよ」
「絵プお姉ちゃん。へたくそ」
まだ正月でないのに真直ちゃんが持ってきたのはすごろく。しかも。
『リアルガチ大凶入りすごろく』
「大吉を多く入れて参拝客に媚びを売るような軟弱さのカケラもないすごろくだから。全100コマの内、77コマが不幸系のイベントだから。ひゃひゃひゃ」
どうして。
どうしてこれからやってくる新しい年に希望を持とうとココロ鎮める大晦日に・・・不幸に自ら突っ込まなくちゃならないんだ!
「・・・『建てた家のトイレの方角が最悪。親戚縁者まで不幸が及び3回休み』・・・」
「蓮見 お兄ちゃん、絶不幸 だね。へへへ」
「ひゃひゃひゃ」
このふたり、笑い方が微妙に似てる。
「ど、どうするさね、蓮見どの。このままだと来年を待たずして地獄に堕ちた心地になってしまうさね・・・」
「いや、絵プロ鵜。真直ちゃんも捻美ちゃんも堕ちた心地じゃなくって、本当に僕らを生きながら地獄に堕とすつもりだ」
「し、しかしどうしてあのふたりは見事に不幸のコマを避けて通れるさね!」
「ひゃひゃひゃ」
「へへへ」
何かトリックがあるはずだ。
そう思ったけど、僕ら4人は同じサイコロを使ってる。
ああ。神様
どうしてこのふたりに運を授け給うのか・・・
「みんなー。紅白観ながらやろうよー」
「うんうん。真直お姉ちゃんの言う通り」
ダメだ。
いくらかわいらしい顔してても捻美ちゃんは真直ちゃんと本質は全く変わらない。
いや、カラダが小さい分、純度がより一層高い。
ホンモノの災厄 娘だ。
「め、女神はまだかね」
「女神って・・・・」
縁美 は大晦日の年末商戦真っただ中のスーパーで忙殺されてるはずだ。間違っても『すごろくに負けそうだから早く帰ってきて』などとメールは打てない。
戦いは紅白の終了間際の時間にまで及んでしまっている。
4歳の捻美ちゃんもまったく眠たそうな素振りを見せずにサイコロを振る。
「は、蓮見どの・・・・・・・」
とうとう絵プロ鵜が墓標のイラストが入ったコマに止まってしまいそうになっている。
「ひゃひゃひゃ」
「へへへ」
その時、ドアが開いた。
「ごめんねー、遅くなって」
「縁美」
「え、縁美どの!」
「ど、どうしたの?絵プロ鵜ちゃん」
「今晩はー、縁美さーん」
「初めまして。捻美と申します」
縁美の前でなぜか猫を被る真直ちゃんと捻美ちゃん。
絵プロ鵜はほとんど叫んだ。
「え、縁美どの!そ、某 の代わりにサイコロを振ってくれないかね!」
「う、うん。いいよ」
駆けつけいきなり参加した縁美はサイコロを振った。
「やっ」
コロコロとすごろくのボードの横を振った勢いで角を下に独楽みたいにくるくると回るサイコロ。
「とん、とん、とん・・・・って『極楽へ進む』?」
「ご、ゴールさね!」
「え、縁美!」
僕は思わず縁美を抱きしめた。
「縁美!」
「ちょ、ちょっと蓮見くん、みんな見てるよ」
「構わないさね!縁美どのは救世主さね!」
「ふむう・・・・残念だね、ひゃひゃひゃ」
「きゅうしにいっしょうってこういうことなの?へへへ」
ゴールの瞬間に、年が明けた。
「従妹の
真直ちゃんが大陸間弾道弾だとしたら捻美ちゃんは最新鋭のドローン爆撃機だろう。
超小型核搭載の。
「ぬ、ぬおおお!?」
「ほらほら絵プちゃーん。捻美を侮ってると死んじゃうよ」
「絵プお姉ちゃん。へたくそ」
まだ正月でないのに真直ちゃんが持ってきたのはすごろく。しかも。
『リアルガチ大凶入りすごろく』
「大吉を多く入れて参拝客に媚びを売るような軟弱さのカケラもないすごろくだから。全100コマの内、77コマが不幸系のイベントだから。ひゃひゃひゃ」
どうして。
どうしてこれからやってくる新しい年に希望を持とうとココロ鎮める大晦日に・・・不幸に自ら突っ込まなくちゃならないんだ!
「・・・『建てた家のトイレの方角が最悪。親戚縁者まで不幸が及び3回休み』・・・」
「
「ひゃひゃひゃ」
このふたり、笑い方が微妙に似てる。
「ど、どうするさね、蓮見どの。このままだと来年を待たずして地獄に堕ちた心地になってしまうさね・・・」
「いや、絵プロ鵜。真直ちゃんも捻美ちゃんも堕ちた心地じゃなくって、本当に僕らを生きながら地獄に堕とすつもりだ」
「し、しかしどうしてあのふたりは見事に不幸のコマを避けて通れるさね!」
「ひゃひゃひゃ」
「へへへ」
何かトリックがあるはずだ。
そう思ったけど、僕ら4人は同じサイコロを使ってる。
ああ。神様
どうしてこのふたりに運を授け給うのか・・・
「みんなー。紅白観ながらやろうよー」
「うんうん。真直お姉ちゃんの言う通り」
ダメだ。
いくらかわいらしい顔してても捻美ちゃんは真直ちゃんと本質は全く変わらない。
いや、カラダが小さい分、純度がより一層高い。
ホンモノの
「め、女神はまだかね」
「女神って・・・・」
戦いは紅白の終了間際の時間にまで及んでしまっている。
4歳の捻美ちゃんもまったく眠たそうな素振りを見せずにサイコロを振る。
「は、蓮見どの・・・・・・・」
とうとう絵プロ鵜が墓標のイラストが入ったコマに止まってしまいそうになっている。
「ひゃひゃひゃ」
「へへへ」
その時、ドアが開いた。
「ごめんねー、遅くなって」
「縁美」
「え、縁美どの!」
「ど、どうしたの?絵プロ鵜ちゃん」
「今晩はー、縁美さーん」
「初めまして。捻美と申します」
縁美の前でなぜか猫を被る真直ちゃんと捻美ちゃん。
絵プロ鵜はほとんど叫んだ。
「え、縁美どの!そ、
「う、うん。いいよ」
駆けつけいきなり参加した縁美はサイコロを振った。
「やっ」
コロコロとすごろくのボードの横を振った勢いで角を下に独楽みたいにくるくると回るサイコロ。
「とん、とん、とん・・・・って『極楽へ進む』?」
「ご、ゴールさね!」
「え、縁美!」
僕は思わず縁美を抱きしめた。
「縁美!」
「ちょ、ちょっと蓮見くん、みんな見てるよ」
「構わないさね!縁美どのは救世主さね!」
「ふむう・・・・残念だね、ひゃひゃひゃ」
「きゅうしにいっしょうってこういうことなの?へへへ」
ゴールの瞬間に、年が明けた。