127 ママチャリとクロスバイクならどっち?
文字数 1,258文字
連休遊んでばかりのような気もするけど、作り置き惣菜のストックを貯めたり大家さんに頼まれて植え込みの剪定をしたりときちんとやってる。
だから今日はサラトちゃんも誘ってサイクリング。
「蓮見 せんぱい、縁美 さん、お誘いありがとうございます」
「この間キャンプに連れて行ってあげられなかっから」
この3人の組み合わせをなんで思いついたかっていうと。
サラトちゃんで養子縁組の妄想をしてみたいって思いもあったりする。
「あ。おふたりのもクロスバイクなんですね」
「うん。サラトちゃんのがそうだって聞いたからせめてマシンの性能ぐらい合わせとかないと」
「レンタルなんかしてくれるんですね」
「今乗ってるママチャリ買ったサイクルショップでね。オーナーの私物なんだって」
「しかもメタリック・ブルーのお揃いじゃないですか。いいなあ、縁美さん」
「サラトちゃんの赤のも素敵だよ」
「お揃いがいいですよお」
一般道は僕と縁美にはハードルが高いので土手の上を隣の市まで続いてるサイクリング・ロードを走った。
「あっ、見てください!雉 が!」
自転車が近づくと藪から飛び出して猛スピードで雉が走って横切った。
「あれ、トンビですよね!?」
見ると古くて使わなくなった木製の電柱が一本立っててその上にトンビが一羽とまっていた。
シロサギや鴨もたくさんいて。サラトちゃんはおばあちゃんの家で野生生物を見慣れてるけど、街の真ん中を流れる川でこんなにたくさん見られるとは思っていなかったらしい。
下流へ向かって二時間ぐらい走ったところでお弁当にした。
「サラトちゃん。いっぱいあるからね」
「ありがとうございます、縁美さん・・・なかなかに渋いラインアップですね」
「ふふ。大人の惣菜だから」
「きんぴら。田楽。ちりめんジャコとピーマンの甘辛炒め。大人過ぎます!」
「サラトちゃんのは?」
「バンバンジーとトマトとオリーブの実のサラダ、それとサツマイモのレモン煮です」
「なんかアスリート食って感じだね」
お昼の後も少し走って、折り返しでそろそろ帰ろうとしてたら風が強まってきた。
土手から見える、街の向こう側のちょうど平野のあたりの上空だけ横長に黒雲がぶ厚くかかっている。
「きゃあ!」
誰の声?って思ったらサラトちゃんだった。
「雷、怖い?」
「怖くはないですけど・・・」
怖いんだな。
けどその雷怖がりのサラトちゃんも思わず立ち上がって見てた。
「すごい」
川のはるか向こうの土地に黒雲から稲妻が撃ち込まれる線が何度も何度も繰り返された。
多分、それぞれの稲妻の間隔は数kmあるんだろう。
「蓮見せんぱい。縁美さん」
サラトちゃんの声に僕らの真上を見ると、数km向こうの雷雨の場所から吹いてくる強風にトンビが乗っていた。
3人の頭上で垂直離陸可能な戦闘機がホバリングして完全に静止しているような光景。
その少し後方からシロサギが滑空を始めた。
川の上まで飛んで、そのまま水面スレスレを真っ直ぐ上流に向かって飛行する。
「すごい」
僕と縁美との間ではしゃぐサラトちゃんは、小さな女の子みたいだ。
だから今日はサラトちゃんも誘ってサイクリング。
「
「この間キャンプに連れて行ってあげられなかっから」
この3人の組み合わせをなんで思いついたかっていうと。
サラトちゃんで養子縁組の妄想をしてみたいって思いもあったりする。
「あ。おふたりのもクロスバイクなんですね」
「うん。サラトちゃんのがそうだって聞いたからせめてマシンの性能ぐらい合わせとかないと」
「レンタルなんかしてくれるんですね」
「今乗ってるママチャリ買ったサイクルショップでね。オーナーの私物なんだって」
「しかもメタリック・ブルーのお揃いじゃないですか。いいなあ、縁美さん」
「サラトちゃんの赤のも素敵だよ」
「お揃いがいいですよお」
一般道は僕と縁美にはハードルが高いので土手の上を隣の市まで続いてるサイクリング・ロードを走った。
「あっ、見てください!
自転車が近づくと藪から飛び出して猛スピードで雉が走って横切った。
「あれ、トンビですよね!?」
見ると古くて使わなくなった木製の電柱が一本立っててその上にトンビが一羽とまっていた。
シロサギや鴨もたくさんいて。サラトちゃんはおばあちゃんの家で野生生物を見慣れてるけど、街の真ん中を流れる川でこんなにたくさん見られるとは思っていなかったらしい。
下流へ向かって二時間ぐらい走ったところでお弁当にした。
「サラトちゃん。いっぱいあるからね」
「ありがとうございます、縁美さん・・・なかなかに渋いラインアップですね」
「ふふ。大人の惣菜だから」
「きんぴら。田楽。ちりめんジャコとピーマンの甘辛炒め。大人過ぎます!」
「サラトちゃんのは?」
「バンバンジーとトマトとオリーブの実のサラダ、それとサツマイモのレモン煮です」
「なんかアスリート食って感じだね」
お昼の後も少し走って、折り返しでそろそろ帰ろうとしてたら風が強まってきた。
土手から見える、街の向こう側のちょうど平野のあたりの上空だけ横長に黒雲がぶ厚くかかっている。
「きゃあ!」
誰の声?って思ったらサラトちゃんだった。
「雷、怖い?」
「怖くはないですけど・・・」
怖いんだな。
けどその雷怖がりのサラトちゃんも思わず立ち上がって見てた。
「すごい」
川のはるか向こうの土地に黒雲から稲妻が撃ち込まれる線が何度も何度も繰り返された。
多分、それぞれの稲妻の間隔は数kmあるんだろう。
「蓮見せんぱい。縁美さん」
サラトちゃんの声に僕らの真上を見ると、数km向こうの雷雨の場所から吹いてくる強風にトンビが乗っていた。
3人の頭上で垂直離陸可能な戦闘機がホバリングして完全に静止しているような光景。
その少し後方からシロサギが滑空を始めた。
川の上まで飛んで、そのまま水面スレスレを真っ直ぐ上流に向かって飛行する。
「すごい」
僕と縁美との間ではしゃぐサラトちゃんは、小さな女の子みたいだ。