FIFTY-NINE ユニフォームと私服とどちらに萌える?
文字数 1,406文字
平日の仕事上がりに緊急招集となった。
「えーと。野球したことある人!」
シーン。
「えと・・・でもサラトちゃんは体育会系だから授業のソフトボールとかで活躍したんじゃないの?」
「逆です、縁美 さん。バドミントンのラケットのサイズ感が沁みついてるのでボールにバットが当たったためしがありません」
「ええと。美咲 さんはバット持参ですね」
「縁美ちゃーん。これは強盗対策。上から振り下ろすのみ!」
「・・・絵プロ鵜 ちゃんは?」
「某 に訊かないでおくれよ!」
縁美のスーパーの上司がやっているシニアのサッカーチームが今夜借りる予定だったナイター施設完備のグラウンドが急に空いたのだ。キャンセルもできないので代わりに使ってくれと言われてこうなった。
因みにサッカーが中止になった理由は参加者の内4人が突如ぎっくり腰になったからだそうだ。
「とりあえずボールを投げて受けられるのがわたしと蓮見 くんだけなので蓮見くんがピッチャー、わたしがキャッチャーをやります」
「縁美さん」
「なに?サラトちゃん」
「なぜおふたりは野球ができるんですか」
「・・・休みの日にふたりでキャッチボールしてるから」
「・・・いいですね」
しかもサラトちゃんは更に突っ込んできた。
「どうして縁美さんだけそんなかわいいユニフォームなんですか」
「これは・・・スーパーのイベントで苦辛 イージーズの選手が来てくれた時にプレゼントしてくださって」
ソフトボールの女子チームが着るような、ショートパンツのユニフォームだ。
バッターボックスには持参の強盗対策のマイバットを持って美咲さんが立つ。
「え、絵プロ鵜ちゃん?」
「某は審判以外断じてやらぬのです」
僕の後ろにはとりあえず守備ということでサラトちゃんがひとり立つ。
「蓮見せんぱいとわたしだけこっち側なんですね。縁美さんと美咲さんと絵プロ鵜さんが敵でせんぱいとわたしだけが味方同士ってことですね」
違うんだけどな。
「プレイボーイ!」
「・・・・・・・・・」
「な!?某の渾身のギャグを何故に全員でスルーするのでござるか!」
「締まっていこう!」
縁美が守備陣に檄を飛ばすとサラトちゃんがつぶやいた。
「縁美さん、ああやってわたしたちを油断させる戦法ですね」
違う。
なんだかよくわからないままに僕は第一球のモーションに入った。
構える縁美はショートパンツだ。
ミットだけ見るつもりの僕に雑念が混じった。
「あ!」
「あ!」
「おうっ!」
あ・ぶ・な・いーっ!
完全に手元の狂った僕のほどほどの速球が美咲さんの頭部に迫る。
「振り頃のコース!」
美咲さんは言っていた通り上から振り下ろした。
ボールはぐんぐん伸びる。
先頭打者(=ラストバッター)ホームラン!?
グラウンドはソフトボール仕様でフェンスが手前に出されている。そこを軟球のカウンターなのでフェンス越えかと思った瞬間、もうサラトちゃんが追い付いていた。
ラフな長袖Tシャツにスポーツ・タイツ、キャップを半被りにして大きなストライドでボールを追うサラトちゃんの姿が、美しい。
ただ、打球が高い。
「やっ!」
サラトちゃんはまるでジャンピングスマッシュのフォームでグローブを上に投げる。
「まさか!」
くるくると鋭く回転するグローブに、打球がすっぽりと収まった。
が、しかし、そのままフェンスを越えた。
「審判!」
縁美が絵プロ鵜を振り返ってジャッジを問う。
絵プロ鵜は声高らかにコールした。
「ドロー!」
「えーと。野球したことある人!」
シーン。
「えと・・・でもサラトちゃんは体育会系だから授業のソフトボールとかで活躍したんじゃないの?」
「逆です、
「ええと。
「縁美ちゃーん。これは強盗対策。上から振り下ろすのみ!」
「・・・
「
縁美のスーパーの上司がやっているシニアのサッカーチームが今夜借りる予定だったナイター施設完備のグラウンドが急に空いたのだ。キャンセルもできないので代わりに使ってくれと言われてこうなった。
因みにサッカーが中止になった理由は参加者の内4人が突如ぎっくり腰になったからだそうだ。
「とりあえずボールを投げて受けられるのがわたしと
「縁美さん」
「なに?サラトちゃん」
「なぜおふたりは野球ができるんですか」
「・・・休みの日にふたりでキャッチボールしてるから」
「・・・いいですね」
しかもサラトちゃんは更に突っ込んできた。
「どうして縁美さんだけそんなかわいいユニフォームなんですか」
「これは・・・スーパーのイベントで
ソフトボールの女子チームが着るような、ショートパンツのユニフォームだ。
バッターボックスには持参の強盗対策のマイバットを持って美咲さんが立つ。
「え、絵プロ鵜ちゃん?」
「某は審判以外断じてやらぬのです」
僕の後ろにはとりあえず守備ということでサラトちゃんがひとり立つ。
「蓮見せんぱいとわたしだけこっち側なんですね。縁美さんと美咲さんと絵プロ鵜さんが敵でせんぱいとわたしだけが味方同士ってことですね」
違うんだけどな。
「プレイボーイ!」
「・・・・・・・・・」
「な!?某の渾身のギャグを何故に全員でスルーするのでござるか!」
「締まっていこう!」
縁美が守備陣に檄を飛ばすとサラトちゃんがつぶやいた。
「縁美さん、ああやってわたしたちを油断させる戦法ですね」
違う。
なんだかよくわからないままに僕は第一球のモーションに入った。
構える縁美はショートパンツだ。
ミットだけ見るつもりの僕に雑念が混じった。
「あ!」
「あ!」
「おうっ!」
あ・ぶ・な・いーっ!
完全に手元の狂った僕のほどほどの速球が美咲さんの頭部に迫る。
「振り頃のコース!」
美咲さんは言っていた通り上から振り下ろした。
ボールはぐんぐん伸びる。
先頭打者(=ラストバッター)ホームラン!?
グラウンドはソフトボール仕様でフェンスが手前に出されている。そこを軟球のカウンターなのでフェンス越えかと思った瞬間、もうサラトちゃんが追い付いていた。
ラフな長袖Tシャツにスポーツ・タイツ、キャップを半被りにして大きなストライドでボールを追うサラトちゃんの姿が、美しい。
ただ、打球が高い。
「やっ!」
サラトちゃんはまるでジャンピングスマッシュのフォームでグローブを上に投げる。
「まさか!」
くるくると鋭く回転するグローブに、打球がすっぽりと収まった。
が、しかし、そのままフェンスを越えた。
「審判!」
縁美が絵プロ鵜を振り返ってジャッジを問う。
絵プロ鵜は声高らかにコールした。
「ドロー!」