FIFTY SOFT & WET と HARD & DRY
文字数 1,185文字
ドライ&ウエット。
5年間を経て繰り返し確認してきた縁美 の人柄が、これだ。
「は、蓮見 くん。不動湯が・・・」
僕らが毎日通う銭湯が。
壊れた。
復旧工事に一か月かかるそうなので、縁美と僕とでスポーツジムの一か月限定会員契約をした。
ジャグジーやシャワーが完備されているのでエアロバイクを漕いだりランニング・マシンで走ったり、他のマシンを使って筋トレしたり・・・そこまでの時間が無い日でもお風呂代わりに使っただけでも会費の方が電車でないと行けないスーパー銭湯よりもお得なのだ。
「あ。蓮見せんぱい」
「サラトちゃん?」
「・・・こんばんは」
サラトちゃんはこのジムを中学生の時から利用していたという。
そして縁美に接触してきた。
「縁美さん、マシンの使い方お教えしましょうか?」
「・・・お願いします」
脇で見ている僕が緊張する。
「縁美さん、そこはゆっくり・・・そうです!」
「サラトちゃん・・・結構きついよ・・・」
「頑張ってください!ゆっくり動かすことで負荷が何倍にもなるんです!」
ただ、サラトちゃんはさすがにトレーニングに関しては本気モードで、ふたりの間に微妙な空気が流れるどころじゃなかった。
「縁美さん、根性ありますね」
「ありがとう」
僕がストレッチでお茶を濁している隣で縁美とサラトちゃんのふたりは、熱く筋肉をいじめ抜いていた。
「じゃあ、縁美さん」
「うん。蓮見くん、サラトちゃんとお風呂入ってくるね」
なんか、寂しいな。
お風呂上りに三人で飲んだ飲み物は三者三様だった。
「蓮見くんはサイダー?」
「うん。なんとなくスカッとしたくて」
「縁美さんのはカフェオレ、ですか?」
「うん。ほんとはコーヒー牛乳といきたいとこだけど・・・雰囲気だけね」
「サラトちゃんのそれは?」
「水、です」
「ミネラルウォーター?」
「いいえ。家の水道水を水筒に淹れてきただけです」
「スポーツドリンクとか飲むわけじゃないんだ?」
「試合の時ならともかく、普段はなるべく血糖値を上げないように管理してるんです」
僕も縁美もサラトちゃんのストイックさに、自分たちの自堕落さを振り返ってなんだか恥ずかしくなった。
けど、それよりも。
「サラトちゃんは週何回で来てるの?」
「大体毎日です」
「うわ」
・・・となると、僕と縁美は毎日サラトちゃんに『しごかれる』ってことになるのか・・・
「蓮見せんぱい、縁美さん、お疲れさまでした。お休みなさい」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
サラトちゃんと別れて月の見える帰り道で縁美が言った。
「すごかったよ。サラトちゃんの腹筋とか」
「もしかして、割れてた?」
「うん。ムダなものが一切なかったよ。それなのに胸はしっかりあるし」
想像しないようにした・・・いや、妄想しないように、ということか。
「わたしはね。ぺたんこだって言われたよ」
「えっ。胸が?」
「違うよ!おなか」
「ああ」
それは僕も知ってる。
5年間を経て繰り返し確認してきた
「は、
僕らが毎日通う銭湯が。
壊れた。
復旧工事に一か月かかるそうなので、縁美と僕とでスポーツジムの一か月限定会員契約をした。
ジャグジーやシャワーが完備されているのでエアロバイクを漕いだりランニング・マシンで走ったり、他のマシンを使って筋トレしたり・・・そこまでの時間が無い日でもお風呂代わりに使っただけでも会費の方が電車でないと行けないスーパー銭湯よりもお得なのだ。
「あ。蓮見せんぱい」
「サラトちゃん?」
「・・・こんばんは」
サラトちゃんはこのジムを中学生の時から利用していたという。
そして縁美に接触してきた。
「縁美さん、マシンの使い方お教えしましょうか?」
「・・・お願いします」
脇で見ている僕が緊張する。
「縁美さん、そこはゆっくり・・・そうです!」
「サラトちゃん・・・結構きついよ・・・」
「頑張ってください!ゆっくり動かすことで負荷が何倍にもなるんです!」
ただ、サラトちゃんはさすがにトレーニングに関しては本気モードで、ふたりの間に微妙な空気が流れるどころじゃなかった。
「縁美さん、根性ありますね」
「ありがとう」
僕がストレッチでお茶を濁している隣で縁美とサラトちゃんのふたりは、熱く筋肉をいじめ抜いていた。
「じゃあ、縁美さん」
「うん。蓮見くん、サラトちゃんとお風呂入ってくるね」
なんか、寂しいな。
お風呂上りに三人で飲んだ飲み物は三者三様だった。
「蓮見くんはサイダー?」
「うん。なんとなくスカッとしたくて」
「縁美さんのはカフェオレ、ですか?」
「うん。ほんとはコーヒー牛乳といきたいとこだけど・・・雰囲気だけね」
「サラトちゃんのそれは?」
「水、です」
「ミネラルウォーター?」
「いいえ。家の水道水を水筒に淹れてきただけです」
「スポーツドリンクとか飲むわけじゃないんだ?」
「試合の時ならともかく、普段はなるべく血糖値を上げないように管理してるんです」
僕も縁美もサラトちゃんのストイックさに、自分たちの自堕落さを振り返ってなんだか恥ずかしくなった。
けど、それよりも。
「サラトちゃんは週何回で来てるの?」
「大体毎日です」
「うわ」
・・・となると、僕と縁美は毎日サラトちゃんに『しごかれる』ってことになるのか・・・
「蓮見せんぱい、縁美さん、お疲れさまでした。お休みなさい」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
サラトちゃんと別れて月の見える帰り道で縁美が言った。
「すごかったよ。サラトちゃんの腹筋とか」
「もしかして、割れてた?」
「うん。ムダなものが一切なかったよ。それなのに胸はしっかりあるし」
想像しないようにした・・・いや、妄想しないように、ということか。
「わたしはね。ぺたんこだって言われたよ」
「えっ。胸が?」
「違うよ!おなか」
「ああ」
それは僕も知ってる。