232 少女漫画と少年漫画ならどっち?
文字数 955文字
「この時代にジャージとかスゥエットとかスニーカーとかをベースに着こなしてるのって・・・・先見の明ありでセンスあるよね」
「このタイトルナンバーのモチーフになってる曲のバンドが、こんな感じのファッションしてたの」
もちろん、知ってる。
日本を代表するロックバンドだ。
大雪でアパートに籠らざるを得ない状況で、縁美と僕がどうしてか子供の頃に読んでた漫画の話を始めたんだ。
「
「少年マンガ?」
困ってしまった。
僕はいわゆる男子が読みそうなマンガをあまり読んでいない。
ユニセックス、ってわけじゃないけど、それこそ縁美が読んでたその少女マンガのような作品の方が、僕の15歳に至る感性を作り上げるのにとても大切なものだったような気がする。
「深夜、ふたりで布団に寝そべって観たあのアニメの原作マンガ」
「あれ?でも、あのマンガ、確かに少年誌に連載されてたけど・・・・・少女漫画っぽくない?」
僕は即座に答えた。
「僕らの恋愛って、少女漫画と少年漫画のいいとこどりでしょ?」
「えっ」
まあ・・・・・ふたりの関係を『恋愛』って自分から言うのはちょっと恥ずかしいけど・・・・・でも、僕はまさしく漫画のように盛り上がるシーンの気持ちに突入してしまってる。
「この間、縁美が手袋を外して手を繋いでくれたところまでは少女漫画」
「えっ、えっ」
「そのあと、縁美が僕のボケットにふたりの手を強引に突っ込んで・・・指をまさぐり合ったのは少年漫画」
「・・・・・・・・・・・・・蓮見くん」
「うん」
「それ、違うから」
「えっ」
縁美、真顔だ。
「手をポケットに突っ込んだのも、少女漫画だよ」
「縁美、その区分の仕方の根拠は?」
「えっちかそうじゃないか」
「?」
「少女漫画は、おしゃれなえっちだから」
言ってる意味が分かるような分からないような。
論旨もどんどんズレてしまって行ってるような気がしたけど漫画のことならプロに訊こうということになった。
「
『なにかね』
「縁美と僕は、少女漫画?それとも少年漫画?」
待つこと、数秒。
『劇画さね』