THIRTY-ONE アイスとかき氷どちらを愛す?
文字数 1,184文字
僕らの間に亀裂が入った。
「蓮見 くん、最近かき氷のアイスばっかり選んでない?」
「確かに・・・」
「アイスが嫌いなの?」
「ちょっと待って。今縁美 も『かき氷のアイス』って言ったよね?」
「う・・・人の上げ足取るんだね、蓮見くんは」
「別にそんな訳じゃ」
「変わったね、蓮見くん」
僕は、変わった、のか・・・?
「蓮見どの。long time no seeでござったな」
「絵プロ鵜 に訊きたいことがあって」
「某 は一向にかまわぬのだが仮にも男女がふたりで逢瀬してよろしいのか?縁美どのが嘆くやもしれぬぞ?」
「その縁美のことなんだけど・・・・・」
僕はどうしてだかわからないけど、プロの漫画家として世の荒波を生きる彼女に相談した。絵プロ鵜は豪快に笑った。
「ゲラゲラゲラ!仲が良いのだな蓮見どのと縁美どのは」
「ケンカの最中だよ?」
「ま、茶でも飲まれい」
そう言って絵プロ鵜はファミレスのドリンクバーをまるで自分の家に備え付けのジュースサーバーみたいな物言いをした。
「ところで某 の漫画がちょうど第31話でな」
「ちょうど?」
「とあるアイス屋がその数字だろう?」
なるほど。
「ねえ、絵プロ鵜。女子はこういう些細なことにこだわるものなのかな?」
「蓮見どの。根本が間違っておるぞ」
「え」
「某 は女子なのではない。漫画家なのだ」
「・・・・・・・そっか。ごめん」
何の解決にもならなかったけど、絵プロ鵜みたいなのを天才かあるいは生まれついての芸術家とでも言うのだろう。
「久しぶりに土手でも行くか・・・」
僕には何も考えたくない時にひとりで訪れる土手がある。
この地方の一級河川の堤防沿いに僕や多分縁美もそこで生まれたんじゃないか、っていう産婦人科が一定の評価を得ている総合病院が建つその土手に。
その場所には縁美も連れて来ず、僕は必ず一人で来る。
「アイスは別にもうどうでもいい」
僕は縁美の言葉を今一度反芻した。
『変わったね、蓮見くん』
5年も人生を重ねればそれはどこかしら変化はあるだろう。
残念ながら中学三年生の時以来僕の背はそのまま伸びず、既に170cmを超えていた縁美は更に何センチか発育し、スリムでトールなフォルムを僕に見せてくれてる。
そういえば。
縁美は決してヒールのある靴を履かない。
ソールの薄いデニム生地のデッキシューズをよく履いてる。
そういう意味では縁美は変わっていない。
「あ、ここだと思った」
縁美が自転車で土手を走ってくる。
「どうしてここが?」
「あれ?知らないって思ってたの?」
くすくすと笑う縁美。自転車を降りて押しながら縁美と僕は土手を下流に向かって歩き出した。
「かき氷は蓮見くんの嗜好の成長なんだね、きっと」
「子供みたいに言わないでよ」
「ふふふ。子供子供。蓮見くんはわたしのかわいい、こ・ど・も」
やっぱり変わらない。
けど、ちょっとずつ変わってるし、変わってくんだろうな。
「
「確かに・・・」
「アイスが嫌いなの?」
「ちょっと待って。今
「う・・・人の上げ足取るんだね、蓮見くんは」
「別にそんな訳じゃ」
「変わったね、蓮見くん」
僕は、変わった、のか・・・?
「蓮見どの。long time no seeでござったな」
「
「
「その縁美のことなんだけど・・・・・」
僕はどうしてだかわからないけど、プロの漫画家として世の荒波を生きる彼女に相談した。絵プロ鵜は豪快に笑った。
「ゲラゲラゲラ!仲が良いのだな蓮見どのと縁美どのは」
「ケンカの最中だよ?」
「ま、茶でも飲まれい」
そう言って絵プロ鵜はファミレスのドリンクバーをまるで自分の家に備え付けのジュースサーバーみたいな物言いをした。
「ところで
「ちょうど?」
「とあるアイス屋がその数字だろう?」
なるほど。
「ねえ、絵プロ鵜。女子はこういう些細なことにこだわるものなのかな?」
「蓮見どの。根本が間違っておるぞ」
「え」
「
「・・・・・・・そっか。ごめん」
何の解決にもならなかったけど、絵プロ鵜みたいなのを天才かあるいは生まれついての芸術家とでも言うのだろう。
「久しぶりに土手でも行くか・・・」
僕には何も考えたくない時にひとりで訪れる土手がある。
この地方の一級河川の堤防沿いに僕や多分縁美もそこで生まれたんじゃないか、っていう産婦人科が一定の評価を得ている総合病院が建つその土手に。
その場所には縁美も連れて来ず、僕は必ず一人で来る。
「アイスは別にもうどうでもいい」
僕は縁美の言葉を今一度反芻した。
『変わったね、蓮見くん』
5年も人生を重ねればそれはどこかしら変化はあるだろう。
残念ながら中学三年生の時以来僕の背はそのまま伸びず、既に170cmを超えていた縁美は更に何センチか発育し、スリムでトールなフォルムを僕に見せてくれてる。
そういえば。
縁美は決してヒールのある靴を履かない。
ソールの薄いデニム生地のデッキシューズをよく履いてる。
そういう意味では縁美は変わっていない。
「あ、ここだと思った」
縁美が自転車で土手を走ってくる。
「どうしてここが?」
「あれ?知らないって思ってたの?」
くすくすと笑う縁美。自転車を降りて押しながら縁美と僕は土手を下流に向かって歩き出した。
「かき氷は蓮見くんの嗜好の成長なんだね、きっと」
「子供みたいに言わないでよ」
「ふふふ。子供子供。蓮見くんはわたしのかわいい、こ・ど・も」
やっぱり変わらない。
けど、ちょっとずつ変わってるし、変わってくんだろうな。