ONE HUNDRED NINETEEN 消防と救急ならどっち?
文字数 1,274文字
『は、蓮見 どのぉ・・・』
「どうしたの!絵プロ鵜 !」
『某 、もうダメでござる・・・』
切れた。
「縁美 !ちょっと行ってくる!」
「蓮見くん、気をつけてね!」
僕はアパートから自転車で絵プロ鵜のアパートまでまさしく疾走した。
日曜、朝の4時。
「絵プロ鵜!」
声をかけると同時にノックしてそのままドアノブに触れると可動したので開けて部屋に入った。
「なんだこれ・・・」
遠目で見るとメカニカルな宇宙船の内部のように見えた。
ただ、焦点が合うと一気に分析可能となった。
狭いキッチンの横に種類ごとにカップ麺が10個ずつ3列整然と積み上げられ、そこから続く畳の居住スペースには漫画、画集、文庫の小説がこれまた20冊ぐらいずつ整然と積み上げられそれが綺麗にカタカナのコの字型に配列されている。しかも二重に。
その中央にまるでコックピットのように万年コタツがあり、女子がひとり座ったままで顔をコタツ布団に埋めて呻いていた。
実は僕は縁美の部屋にも入ったことがない。そのまま一緒に暮らし始めたので。
初女子の部屋がこれか!と思った僕はつまりそういう余裕を逆に持てたので冷静に対処できたんだろうと思う。
「絵プロ鵜!大丈夫かい!?」
「うう・・・お腹が・・・痛いぃ」
「分かった。呼ぶよ」
だからすぐに冷静に119をコールした。
『消防ですか?救急ですか?』
「救急です」
『ご本人ですか?』
「いいえ、友人です」
「年齢や性別、それから症状は?』
「20歳女性です。腹痛で動けないぐらいの痛みのようです」
『分かりました。では救急車を一台向かわせます。サイレンは』
絵プロ鵜がちょっとだけ首をいやいやした。
「近くまで来たら消してください」
「ううう・・・蓮見どのぉ、申し訳ない・・・」
「いいから。あ。もう来たよ」
隊員さん達の手際は見事だった。
この狭いボロいアパートの通路でスムースにストレッチャーを動かし、まるで絵プロ鵜を姫様でも載せるように扱った。
「一緒にお乗りください」
「はい」
同乗した僕に車中で絵プロ鵜が思いがけないことを言った。
「は、蓮見どの」
「なんだい」
「手を・・・」
えっ。
判断を僕は隊員さんに委ねた。
「握ってあげてください」
「は・・・い」
下から差し出された右手を握ってあげた。
あれ?
ああ・・・確かに、女の子の手だ。
ペンダコもまあ、かわいらしいのかな・・・
「絵プロ鵜ちゃん!」
僕が連絡して、縁美がタクシーで病院に迎えに来てくれた。
「いやあ・・・縁美どのも、本当に申し訳ござらぬ」
「絵プロ鵜ちゃん大丈夫!?蓮見くん、どうだったの!?」
「お腹にガスが溜まったんだって」
「面目ない。実は締め切りに間に合わせようと三日三晩トイレにも行かず没頭しておったのでござる」
「三日も!」
「一応ガスを抜く処置をして」
「よかった・・・」
帰り道、タクシーの中。
縁美が突然言った。
「はっ!そうだ!」
「な、なに?」
「絵プロ鵜ちゃんを養子にしよっか!?」
んん・・・・・?
「おおっ、それはいいでござる!」
「そうすれば食生活もわたしたちが管理して執筆も捗るでしょ?どう、蓮見くん!?」
「いやだ」
「どうしたの!
『
切れた。
「
「蓮見くん、気をつけてね!」
僕はアパートから自転車で絵プロ鵜のアパートまでまさしく疾走した。
日曜、朝の4時。
「絵プロ鵜!」
声をかけると同時にノックしてそのままドアノブに触れると可動したので開けて部屋に入った。
「なんだこれ・・・」
遠目で見るとメカニカルな宇宙船の内部のように見えた。
ただ、焦点が合うと一気に分析可能となった。
狭いキッチンの横に種類ごとにカップ麺が10個ずつ3列整然と積み上げられ、そこから続く畳の居住スペースには漫画、画集、文庫の小説がこれまた20冊ぐらいずつ整然と積み上げられそれが綺麗にカタカナのコの字型に配列されている。しかも二重に。
その中央にまるでコックピットのように万年コタツがあり、女子がひとり座ったままで顔をコタツ布団に埋めて呻いていた。
実は僕は縁美の部屋にも入ったことがない。そのまま一緒に暮らし始めたので。
初女子の部屋がこれか!と思った僕はつまりそういう余裕を逆に持てたので冷静に対処できたんだろうと思う。
「絵プロ鵜!大丈夫かい!?」
「うう・・・お腹が・・・痛いぃ」
「分かった。呼ぶよ」
だからすぐに冷静に119をコールした。
『消防ですか?救急ですか?』
「救急です」
『ご本人ですか?』
「いいえ、友人です」
「年齢や性別、それから症状は?』
「20歳女性です。腹痛で動けないぐらいの痛みのようです」
『分かりました。では救急車を一台向かわせます。サイレンは』
絵プロ鵜がちょっとだけ首をいやいやした。
「近くまで来たら消してください」
「ううう・・・蓮見どのぉ、申し訳ない・・・」
「いいから。あ。もう来たよ」
隊員さん達の手際は見事だった。
この狭いボロいアパートの通路でスムースにストレッチャーを動かし、まるで絵プロ鵜を姫様でも載せるように扱った。
「一緒にお乗りください」
「はい」
同乗した僕に車中で絵プロ鵜が思いがけないことを言った。
「は、蓮見どの」
「なんだい」
「手を・・・」
えっ。
判断を僕は隊員さんに委ねた。
「握ってあげてください」
「は・・・い」
下から差し出された右手を握ってあげた。
あれ?
ああ・・・確かに、女の子の手だ。
ペンダコもまあ、かわいらしいのかな・・・
「絵プロ鵜ちゃん!」
僕が連絡して、縁美がタクシーで病院に迎えに来てくれた。
「いやあ・・・縁美どのも、本当に申し訳ござらぬ」
「絵プロ鵜ちゃん大丈夫!?蓮見くん、どうだったの!?」
「お腹にガスが溜まったんだって」
「面目ない。実は締め切りに間に合わせようと三日三晩トイレにも行かず没頭しておったのでござる」
「三日も!」
「一応ガスを抜く処置をして」
「よかった・・・」
帰り道、タクシーの中。
縁美が突然言った。
「はっ!そうだ!」
「な、なに?」
「絵プロ鵜ちゃんを養子にしよっか!?」
んん・・・・・?
「おおっ、それはいいでござる!」
「そうすれば食生活もわたしたちが管理して執筆も捗るでしょ?どう、蓮見くん!?」
「いやだ」