237 大人と子供ならどっち?
文字数 1,167文字
「やった!休校だ!」
今年二度目の大雪で県内の公立学校が休校となり真直 ちゃんが朝から作業場に居座って喜んでるけど。
僕は嬉しくない。
「たらら〜、おい!蓮見
「な、なんだい、真直ちゃん・・・・」
「この部材の接合がガタガタだよぉ!」
「む・・・・な、直すよ・・・」
「おい!蓮見くん!」
「こ、今度はなに・・・・」
「呼んでみただけー」
むかっ。
「ちゅるっ、ちゅちゅちゅるりら〜、おいおい蓮見くーん」
「・・・・なんだい・・・・」
「シケた顔しちゃってぇー」
「コラ!真直!」
「うわ。なに?おじいちゃん?」
「仕事の邪魔だ!」
迫田 さんが一喝してくれなかったら、僕は真直ちゃんに何をしていたかわからない。
ただ・・・・実は迫田さんも真直ちゃんの器用さはいたく買っていて。
「真直。この図面の寸法、少しバランス悪くないかな?」
「おじいちゃーん。慣れたやり方に固執しすぎだよー。若い人の一戸建てなら攻めたデザインにしないとー」
「あ・なるほどなあ・・・」
面白くない。
真直ちゃんは大工の家に生まれて高校の土木建築科でしっかり訓練してて素直にすごいと思う反面。
『ちゅるっ、ちゅちゅちゅるりら〜』などと口ずさみながら大人の僕をぞんざいに扱う。
でもまあ不甲斐ない自分が悪いか・・・
「いらっしゃいませぇ」
午後、来客があった。僕と迫田さんが手が離せなかったので真直ちゃんが応対してくれた。
「なんだよ。子供だけか?」
「子供でも一人前ですよぉ」
「ふーん・・・腕がいいエクステリア職人だってSNSの評価があったが・・・子供出して客をぞんざいに扱うんだな・・・評判倒れだって拡散しとかねえとな」
「え。ちょっとちょっとぉ」
「その態度自体イラつくわ」
真直ちゃんは悪くない。
頼りない僕のせいだ。
出よう。
「どうされました?」
「お。大人がいるじゃねえか」
「僕は大人ですけど、半人前ですよ」
「なんだぁ?」
「転職して、修行中です」
「言ってて恥ずかしくねえか」
「事実なので。この子は棟梁の孫娘です。僕なんかより器用にこなしますよ」
「情けねえ、大人のクセに」
「嘘はつけませんので。仕事に責任を持たないといけませんから」
「責任も何も、お前ら仕事受ける資格無しだな」
お客さんがそう言ったところで迫田さんが出てきた。
「アンタ。どこの業者だ」
「俺は業者じゃねえ。純粋な客だぜ」
「嘘つけ。何年か前の施工現場で見かけたぞ」
「ちっ」
「アンタんとこは元請けもする大手だろ?そっちこそ恥ずかしくねえのか?」
「うるせえな」
「アンタらがこんなセコイ手使うほど経営が危ねえって大工仲間に広めとくぞ」
男は唾を吐いて帰って行った。
「蓮見さーん、さっきはいじめてごめんね?」
「別に」
「見直したな。助けに来てくれて」
「・・・・一応は大人だから」
「うんうん。蓮見さんは大人大人。ちゅちゅちゅるりら〜」
むかっ。
今年二度目の大雪で県内の公立学校が休校となり
僕は嬉しくない。
「たらら〜、おい!
くん
!」「な、なんだい、真直ちゃん・・・・」
「この部材の接合がガタガタだよぉ!」
「む・・・・な、直すよ・・・」
「おい!蓮見くん!」
「こ、今度はなに・・・・」
「呼んでみただけー」
むかっ。
「ちゅるっ、ちゅちゅちゅるりら〜、おいおい蓮見くーん」
「・・・・なんだい・・・・」
「シケた顔しちゃってぇー」
「コラ!真直!」
「うわ。なに?おじいちゃん?」
「仕事の邪魔だ!」
ただ・・・・実は迫田さんも真直ちゃんの器用さはいたく買っていて。
「真直。この図面の寸法、少しバランス悪くないかな?」
「おじいちゃーん。慣れたやり方に固執しすぎだよー。若い人の一戸建てなら攻めたデザインにしないとー」
「あ・なるほどなあ・・・」
面白くない。
真直ちゃんは大工の家に生まれて高校の土木建築科でしっかり訓練してて素直にすごいと思う反面。
『ちゅるっ、ちゅちゅちゅるりら〜』などと口ずさみながら大人の僕をぞんざいに扱う。
でもまあ不甲斐ない自分が悪いか・・・
「いらっしゃいませぇ」
午後、来客があった。僕と迫田さんが手が離せなかったので真直ちゃんが応対してくれた。
「なんだよ。子供だけか?」
「子供でも一人前ですよぉ」
「ふーん・・・腕がいいエクステリア職人だってSNSの評価があったが・・・子供出して客をぞんざいに扱うんだな・・・評判倒れだって拡散しとかねえとな」
「え。ちょっとちょっとぉ」
「その態度自体イラつくわ」
真直ちゃんは悪くない。
頼りない僕のせいだ。
出よう。
「どうされました?」
「お。大人がいるじゃねえか」
「僕は大人ですけど、半人前ですよ」
「なんだぁ?」
「転職して、修行中です」
「言ってて恥ずかしくねえか」
「事実なので。この子は棟梁の孫娘です。僕なんかより器用にこなしますよ」
「情けねえ、大人のクセに」
「嘘はつけませんので。仕事に責任を持たないといけませんから」
「責任も何も、お前ら仕事受ける資格無しだな」
お客さんがそう言ったところで迫田さんが出てきた。
「アンタ。どこの業者だ」
「俺は業者じゃねえ。純粋な客だぜ」
「嘘つけ。何年か前の施工現場で見かけたぞ」
「ちっ」
「アンタんとこは元請けもする大手だろ?そっちこそ恥ずかしくねえのか?」
「うるせえな」
「アンタらがこんなセコイ手使うほど経営が危ねえって大工仲間に広めとくぞ」
男は唾を吐いて帰って行った。
「蓮見さーん、さっきはいじめてごめんね?」
「別に」
「見直したな。助けに来てくれて」
「・・・・一応は大人だから」
「うんうん。蓮見さんは大人大人。ちゅちゅちゅるりら〜」
むかっ。