TWENTY-NINE 安眠と不眠と・・・どっち?
文字数 1,349文字
以前にも日曜の夜の過ごし方を話したことがあったけど・・・
実際にはシンプルなことじゃなくって、多くの人たちがひとりひとり違う事情を抱えてるんだろうな・・・
「最近眠れなくて」
「えぇ~?美咲 さんがですかぁあ~?」
三春 ちゃんはそう言うけど、これはどんなひとだってそうなんだと思う。
誰だってしんどい時はあるのさ。
「はじめまして、美咲 さん。いつも蓮見 くんがお世話になっております」
「こんばんは、縁美 ちゃん・・・へえ・・・」
「あ、あの・・・?」
「思った通りの子でよかった」
僕らは三人で日曜の深夜のファミレスで会ったんだ。
「蓮見っち。明日の仕事に差し支えちゃうね」
「美咲さん。美咲さんのことの方が大事です」
「うわ・・・・・嘘、感激だわ・・・」
「僕は、今の会社で美咲さんや三春ちゃんたちと一緒に仕事しててほんとに人生で無かったぐらいに愛おしい毎日を過ごしてるんです」
「ありがと・・・」
「美咲さん」
「なに?縁美ちゃん」
「わたしみたいな小娘になんて話せないかもしれませんけれども・・・それでもできることがあるかもしれません」
「縁美ちゃんもありがとう・・・そうだね・・・話してみよっかな」
「是非」
「三春ちゃんのことなんだけどね」
あ。
・・・・・・・・・そうなのか?
「三春ちゃんは妊娠してるわけだけどさ・・・もうそろそろ現場仕事はきつくてね。ほんとだったら現業じゃなくて間接部門に一旦異動してそれから育休とって・・・ってのが普通の会社だけどさ・・・ウチはそんな余裕ないからさ」
「ええ・・・そうですね」
「三春ちゃんが現場を離れたとしても人員の補充はないから蓮見っちの仕事もきつくなるだろうし」
「それって僕も美咲さんもですよね」
「蓮見っち。でもそれで済めばまだよくてさ」
「はい?」
「三春ちゃん、会社辞めなくちゃならないかも」
「えっ!?」
「ウチの会社にはそういう余裕はもうないからさ・・・育休にするよりは辞めてもらって・・・新しい人員を雇うかもしれない」
「そんな・・・・・・」
「美咲さん」
あれ。
縁美がここで発言?
「美咲さん、それってほんとの美咲さんの悩みじゃないでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・どうして分かったの?縁美ちゃん」
「美咲さんは、人のせいにできるような方じゃないと思うので」
「そっか・・・そうだね。三春ちゃんの事情のせいにして、自分がラクになりたいって思ってたのかもね」
「美咲さん」
「う、うん」
縁美がその表情と、深夜のファミレスのお客たちのたたずみの中では目立つ凛々しい声で言った。
「それでもわたしは美咲さんに言います。絶対に自分のせいだと思わないでください。あいつのせいだ、って思っててください」
「三春ちゃんのこと?」
「いいえ。たとえばわたしのせいでもいいですよ。わたしがアパートで機嫌悪くしてるから蓮見くんが仕事で失敗ばっかりしてかなわん、とか」
「ちょちょちょ、縁美?」
「ふふふ。縁美ちゃん、おもしろいこと言うね?」
「でも、ほんとのことですから。わたしが何度でも言ってあげます。美咲さん」
「うん」
「あなたは絶対悪くない。悪いのはあなた以外の何か。絶対に美咲さんのせいじゃない」
「なんか、眠れそう」
美咲さんは、ひとつあくびをして、テーブルの肘の上に右頬を乗っけて、微かに寝息を立てた。
実際にはシンプルなことじゃなくって、多くの人たちがひとりひとり違う事情を抱えてるんだろうな・・・
「最近眠れなくて」
「えぇ~?
誰だってしんどい時はあるのさ。
「はじめまして、
「こんばんは、
「あ、あの・・・?」
「思った通りの子でよかった」
僕らは三人で日曜の深夜のファミレスで会ったんだ。
「蓮見っち。明日の仕事に差し支えちゃうね」
「美咲さん。美咲さんのことの方が大事です」
「うわ・・・・・嘘、感激だわ・・・」
「僕は、今の会社で美咲さんや三春ちゃんたちと一緒に仕事しててほんとに人生で無かったぐらいに愛おしい毎日を過ごしてるんです」
「ありがと・・・」
「美咲さん」
「なに?縁美ちゃん」
「わたしみたいな小娘になんて話せないかもしれませんけれども・・・それでもできることがあるかもしれません」
「縁美ちゃんもありがとう・・・そうだね・・・話してみよっかな」
「是非」
「三春ちゃんのことなんだけどね」
あ。
・・・・・・・・・そうなのか?
「三春ちゃんは妊娠してるわけだけどさ・・・もうそろそろ現場仕事はきつくてね。ほんとだったら現業じゃなくて間接部門に一旦異動してそれから育休とって・・・ってのが普通の会社だけどさ・・・ウチはそんな余裕ないからさ」
「ええ・・・そうですね」
「三春ちゃんが現場を離れたとしても人員の補充はないから蓮見っちの仕事もきつくなるだろうし」
「それって僕も美咲さんもですよね」
「蓮見っち。でもそれで済めばまだよくてさ」
「はい?」
「三春ちゃん、会社辞めなくちゃならないかも」
「えっ!?」
「ウチの会社にはそういう余裕はもうないからさ・・・育休にするよりは辞めてもらって・・・新しい人員を雇うかもしれない」
「そんな・・・・・・」
「美咲さん」
あれ。
縁美がここで発言?
「美咲さん、それってほんとの美咲さんの悩みじゃないでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・どうして分かったの?縁美ちゃん」
「美咲さんは、人のせいにできるような方じゃないと思うので」
「そっか・・・そうだね。三春ちゃんの事情のせいにして、自分がラクになりたいって思ってたのかもね」
「美咲さん」
「う、うん」
縁美がその表情と、深夜のファミレスのお客たちのたたずみの中では目立つ凛々しい声で言った。
「それでもわたしは美咲さんに言います。絶対に自分のせいだと思わないでください。あいつのせいだ、って思っててください」
「三春ちゃんのこと?」
「いいえ。たとえばわたしのせいでもいいですよ。わたしがアパートで機嫌悪くしてるから蓮見くんが仕事で失敗ばっかりしてかなわん、とか」
「ちょちょちょ、縁美?」
「ふふふ。縁美ちゃん、おもしろいこと言うね?」
「でも、ほんとのことですから。わたしが何度でも言ってあげます。美咲さん」
「うん」
「あなたは絶対悪くない。悪いのはあなた以外の何か。絶対に美咲さんのせいじゃない」
「なんか、眠れそう」
美咲さんは、ひとつあくびをして、テーブルの肘の上に右頬を乗っけて、微かに寝息を立てた。