162 有給と無給ならどっち?
文字数 1,168文字
僕の今の会社がとてもいい職場だったので事実上のリストラだって言うと縁美 はとても悲しんだ。
けれども宿命だとも分かってくれている。
中卒だから。
僕も縁美も15歳の春から何度か転職している。それが全てではないだろうけど辞めなくちゃならなくなった要素のひとつが中卒だってことは事実あったと思う。
失業保険のこと等を考慮して社長は会社都合の退職という扱いにしてくれてそれからこうも言ってくれた。
「有給全部消化していいからね」
仕事の引き継ぎについては美咲 さんが、
「チームの心が通じ合ってお互いの仕事も分かり合ってたから引き継ぎの必要もないよ。有給使い切りなよ」
お言葉に甘えた。
転職活動しなきゃいけないから。
一応経営者は辞める1ヶ月前には通知しないといけないから僕が辞めるのも1ヶ月後だ。
ところがここで思わぬ事態となった。
去年も今年も有給休暇の一定日数の消化が法律で義務化されてたので休みたくない時に休まざるを得なかった。
今、本当に必要な時に、1ヶ月丸々の有給休暇の繰り越しが無いんだ。
「しょうがないよね」
そう縁美も言ってくれて、とにかく動き始めた。
残ってる有給休暇を頂いて取り敢えずハローワークに来た。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
設置されたパソコンの利用カードを受け取る。
求人情報を条件を絞り込んで検索する。
普通運転免許あり。
一応危険物取扱資格あり。
年齢は20歳。まあ若い。
職歴5年。それなりだと思う。
学歴。
◯◯中学校卒業・・・
実は過去の就職活動の中で学歴についての制限が記載されていない求人も結構あって。
履歴書を持って行ってみると。
「え。高校は?」
「行ってません。中卒です」
「うーーーん」
そういうことが度々あった。
どうかな、と思いつついくつかの企業をピックアップしてみる。
少なくとも縁美との今の生活を維持できるぐらいの収入を入力して。
家賃・食費・光熱費・銭湯代・映画のレンタル代・お菓子代・・・・・・・・
とてもささやかな僕らの生活。
それに極めて重要な要素も込めて。
結婚。
養子として迎える子の養育費・・・
「あの、実は」
「はい」
僕は若い女性のスタッフさんにピックアップした企業を3社分プリントアウトして手渡し続けて言った。
「僕、中卒なんです」
「・・・・では、問い合わせてみましょうか?」
そう言って企業に電話をかけてくれる。
結果は。
「ごめんなさい。全部高卒以上を希望するそうです」
夕方アパートに戻って夕飯の支度をしていると縁美が仕事から帰って来た。
「あー、蓮見くん、就活お疲れ様」
「・・・・なかなか条件に合うところがなかったよ・・・・」
「そっか。だいじょぶだいじょぶ」
笑う縁美。
「わたしにとって蓮見くんは居てくれるだけで稼いでくれてるみたいなもんだから」
微妙に嬉しい・・・・
けれども宿命だとも分かってくれている。
中卒だから。
僕も縁美も15歳の春から何度か転職している。それが全てではないだろうけど辞めなくちゃならなくなった要素のひとつが中卒だってことは事実あったと思う。
失業保険のこと等を考慮して社長は会社都合の退職という扱いにしてくれてそれからこうも言ってくれた。
「有給全部消化していいからね」
仕事の引き継ぎについては
「チームの心が通じ合ってお互いの仕事も分かり合ってたから引き継ぎの必要もないよ。有給使い切りなよ」
お言葉に甘えた。
転職活動しなきゃいけないから。
一応経営者は辞める1ヶ月前には通知しないといけないから僕が辞めるのも1ヶ月後だ。
ところがここで思わぬ事態となった。
去年も今年も有給休暇の一定日数の消化が法律で義務化されてたので休みたくない時に休まざるを得なかった。
今、本当に必要な時に、1ヶ月丸々の有給休暇の繰り越しが無いんだ。
「しょうがないよね」
そう縁美も言ってくれて、とにかく動き始めた。
残ってる有給休暇を頂いて取り敢えずハローワークに来た。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
設置されたパソコンの利用カードを受け取る。
求人情報を条件を絞り込んで検索する。
普通運転免許あり。
一応危険物取扱資格あり。
年齢は20歳。まあ若い。
職歴5年。それなりだと思う。
学歴。
◯◯中学校卒業・・・
実は過去の就職活動の中で学歴についての制限が記載されていない求人も結構あって。
履歴書を持って行ってみると。
「え。高校は?」
「行ってません。中卒です」
「うーーーん」
そういうことが度々あった。
どうかな、と思いつついくつかの企業をピックアップしてみる。
少なくとも縁美との今の生活を維持できるぐらいの収入を入力して。
家賃・食費・光熱費・銭湯代・映画のレンタル代・お菓子代・・・・・・・・
とてもささやかな僕らの生活。
それに極めて重要な要素も込めて。
結婚。
養子として迎える子の養育費・・・
「あの、実は」
「はい」
僕は若い女性のスタッフさんにピックアップした企業を3社分プリントアウトして手渡し続けて言った。
「僕、中卒なんです」
「・・・・では、問い合わせてみましょうか?」
そう言って企業に電話をかけてくれる。
結果は。
「ごめんなさい。全部高卒以上を希望するそうです」
夕方アパートに戻って夕飯の支度をしていると縁美が仕事から帰って来た。
「あー、蓮見くん、就活お疲れ様」
「・・・・なかなか条件に合うところがなかったよ・・・・」
「そっか。だいじょぶだいじょぶ」
笑う縁美。
「わたしにとって蓮見くんは居てくれるだけで稼いでくれてるみたいなもんだから」
微妙に嬉しい・・・・