136 おもしろいとつまらないならどっち?
文字数 847文字
僕は小説を読むんだけれども、冒頭からおもしろい小説を最後まで読み切った記憶がない。
決してその小説が僕に必要ない、ということじゃなくって、その小説が僕の方を必要としていない、って感じてしまったんだ。
つまり僕はつまらない人間なんだろう。
「蓮見 くん。どれ買うの?」
「そうだね・・・縁美 は?」
「おもしろい本。どれかおすすめのものってある?」
おもしろい、か。
難しいな。
今日は僕らの地方ではメガ書店と言っていいような大きな本屋さんに来てる。平日の夜だけど書棚の間を半身にならないと通れないぐらいの人だ。
だから小説もほとんどすべての出版社のものが網羅されててよりどりなんだけど。
縁美を選んでくれる小説は・・・・・
「本って不思議だよね」
「あれ?蓮見くん、急に哲学っぽいセリフだね」
「でもそう思うんだ。本って特に小説なんかがそうだけど書いた人の人格が詰まってるものじゃない」
「そうだね」
「ものすごく大勢の人に向けて書いているようでいて実は書いた人個人の人生そのものへの想いだったりするよね」
「少し難しいけどなんとなく分かるよ」
「分かって貰えるかどうかわからないけど、多くの人に読まれてる本は、僕を相手にしてないような気がしたんだ」
「相手にしてない?どういうこと?」
「僕を読者として想定してないっていうか・・・・・・・僕以外の人に向けては『ホンキ』で書いてるけど僕に対しては『ついで』に書いてるみたいな」
言っててちょっと情けなくなってきたな。
「蓮見くん。当たり前だよ」
「えっ」
「中学の時、クラスの子たちも、教師も、誰もわたしたちに対して『ホンキ』じゃなかったんじゃないかな」
「・・・・・・うん」
「絵プロ鵜 ちゃんだけだよね。絵プロ鵜ちゃんの漫画ってなんだか絵プロ鵜ちゃん本人が本になってそこに居るみたいな感じ」
そっか。
友達だからって描くものまでどうかなんて分からない。
絵プロ鵜の漫画は、少なくとも僕や縁美みたいな人間をホンキで想ってくれてる。
「さて蓮見くん。オススメは?」
「ゆっくり選ぼうよ」
決してその小説が僕に必要ない、ということじゃなくって、その小説が僕の方を必要としていない、って感じてしまったんだ。
つまり僕はつまらない人間なんだろう。
「
「そうだね・・・
「おもしろい本。どれかおすすめのものってある?」
おもしろい、か。
難しいな。
今日は僕らの地方ではメガ書店と言っていいような大きな本屋さんに来てる。平日の夜だけど書棚の間を半身にならないと通れないぐらいの人だ。
だから小説もほとんどすべての出版社のものが網羅されててよりどりなんだけど。
縁美を選んでくれる小説は・・・・・
「本って不思議だよね」
「あれ?蓮見くん、急に哲学っぽいセリフだね」
「でもそう思うんだ。本って特に小説なんかがそうだけど書いた人の人格が詰まってるものじゃない」
「そうだね」
「ものすごく大勢の人に向けて書いているようでいて実は書いた人個人の人生そのものへの想いだったりするよね」
「少し難しいけどなんとなく分かるよ」
「分かって貰えるかどうかわからないけど、多くの人に読まれてる本は、僕を相手にしてないような気がしたんだ」
「相手にしてない?どういうこと?」
「僕を読者として想定してないっていうか・・・・・・・僕以外の人に向けては『ホンキ』で書いてるけど僕に対しては『ついで』に書いてるみたいな」
言っててちょっと情けなくなってきたな。
「蓮見くん。当たり前だよ」
「えっ」
「中学の時、クラスの子たちも、教師も、誰もわたしたちに対して『ホンキ』じゃなかったんじゃないかな」
「・・・・・・うん」
「
そっか。
友達だからって描くものまでどうかなんて分からない。
絵プロ鵜の漫画は、少なくとも僕や縁美みたいな人間をホンキで想ってくれてる。
「さて蓮見くん。オススメは?」
「ゆっくり選ぼうよ」