201 ひとりとふたりならどちら?
文字数 1,272文字
腹が立った時は、ひとりになれ。
これはある意味真理だと思うんだ。
「縁美 ごめん。ちょっと街をさまようよ」
『えっ。なにそれ蓮見 くん』
金曜の夜なのに縁美には申し訳ないけど僕はひとりで駅の周辺を歩いた。
僕自身が何かされた訳じゃなくて迫田 さんがとても不敬に扱われたんだ。
施主さんから。
「こんなんじゃないだろうが」
「ご予算の範囲で打ち合わせさせていただいて、私が描いたイメージも観ていただいていましたが・・・・・どこがいけませんでしょうか?」
「貧相だろうが」
迫田さんが費用こちら持ちでやり直しますと言えば時間がもう無いと言い、ならばお代は結構ですと言ったらふんぞり返ってこう言った。
「もういいよ」
僕とふたりになって迫田さんはこう言った。
「仕事ができてない奴なんだな。俺は」
・・・・・・・・
「すみません。助けていただけませんか」
怒りを思い出していると年配の女性から声を掛けられた。
「どうされたんですか?」
「車のキーを排水溝に落としてしまったんです」
路肩に軽四がハザードランプを点けて停まってて、その脇の排水溝に落としたのだと。
スマホのライトで照らしてみると確かにあった。
「この鉄の蓋を取らないといけませんね」
格子になったステンレス製の蓋は相当な重さだろう。
ただ、ボルトで固定されてはいなかった。
「う・・・・ん・・・・」
重さも重いんだけど、持ち上げようとすると指が千切れるぐらいに痛い。僕は作業の時頭に巻いていたタオルで指を覆って。
「え・・・・・い!」
持ち上がった瞬間に蓋をずらして、ズン、と置いた。
「取れましたよ。どうぞ」
「あ、ありがとうございます。是非お礼を!」
「いえ、大丈夫ですよ」
「そんなことおっしゃらずに」
ふう。
「すみません、ひとりになりたいんです」
女性と別れて歩いて行くと高校の制服を着た女の子が立っていた。
「助けていただけませんか」
「・・・・・・・・・なに」
「遊び相手がいなくて」
まさか、待ち伏せしてたのか。
「真直 ちゃん!なんでここに!?」
「おじいちゃんがね、『俺はもう平気なのに蓮見さんが落ち込んでるみたいだったからケアしてあげろ』って。あそぼ!」
「ひとりになりたいんだ」
「またまたぁ・・・・女子高生と遊べるなんてなかなか無いよ!」
「僕
「ひゃひゃひゃ」
せっかくなのでゲーセンで少しだけあそんだ。
「あれぇ!蓮見さん、野球上手いね!」
「体を動かさないからね」
「なら、えい!」
「わあっ!」
僕のコントローラーを真直ちゃんが。
握った。
「たっ!」
真直ちゃんのせいで棒球になったストレートを場外ホームランされた。
「やったー!感無量ー!」
「メチャクチャだ」
その後もするゲームするゲームで真直ちゃんは豪快にズルをして僕を負かせ続けた。
「ひゃひゃひゃ」
ああもう。
「蓮見さん、どう?」
「なにが」
「腹の虫、収まった?」
「人を怒らせといて!・・・・・」
あれっ。
「収まった・・・・・・」
「ひゃひゃひゃ。腹が立った時の極意。別の事に怒れ!ひゃひゃひゃ!」
もしかして真直ちゃんて、深い、のか・・・・?
これはある意味真理だと思うんだ。
「
『えっ。なにそれ
金曜の夜なのに縁美には申し訳ないけど僕はひとりで駅の周辺を歩いた。
僕自身が何かされた訳じゃなくて
施主さんから。
「こんなんじゃないだろうが」
「ご予算の範囲で打ち合わせさせていただいて、私が描いたイメージも観ていただいていましたが・・・・・どこがいけませんでしょうか?」
「貧相だろうが」
迫田さんが費用こちら持ちでやり直しますと言えば時間がもう無いと言い、ならばお代は結構ですと言ったらふんぞり返ってこう言った。
「もういいよ」
僕とふたりになって迫田さんはこう言った。
「仕事ができてない奴なんだな。俺は」
・・・・・・・・
「すみません。助けていただけませんか」
怒りを思い出していると年配の女性から声を掛けられた。
「どうされたんですか?」
「車のキーを排水溝に落としてしまったんです」
路肩に軽四がハザードランプを点けて停まってて、その脇の排水溝に落としたのだと。
スマホのライトで照らしてみると確かにあった。
「この鉄の蓋を取らないといけませんね」
格子になったステンレス製の蓋は相当な重さだろう。
ただ、ボルトで固定されてはいなかった。
「う・・・・ん・・・・」
重さも重いんだけど、持ち上げようとすると指が千切れるぐらいに痛い。僕は作業の時頭に巻いていたタオルで指を覆って。
「え・・・・・い!」
持ち上がった瞬間に蓋をずらして、ズン、と置いた。
「取れましたよ。どうぞ」
「あ、ありがとうございます。是非お礼を!」
「いえ、大丈夫ですよ」
「そんなことおっしゃらずに」
ふう。
「すみません、ひとりになりたいんです」
女性と別れて歩いて行くと高校の制服を着た女の子が立っていた。
「助けていただけませんか」
「・・・・・・・・・なに」
「遊び相手がいなくて」
まさか、待ち伏せしてたのか。
「
「おじいちゃんがね、『俺はもう平気なのに蓮見さんが落ち込んでるみたいだったからケアしてあげろ』って。あそぼ!」
「ひとりになりたいんだ」
「またまたぁ・・・・女子高生と遊べるなんてなかなか無いよ!」
「僕
で
毎日遊んでるじゃないか!」「ひゃひゃひゃ」
せっかくなのでゲーセンで少しだけあそんだ。
「あれぇ!蓮見さん、野球上手いね!」
「体を動かさないからね」
「なら、えい!」
「わあっ!」
僕のコントローラーを真直ちゃんが。
握った。
「たっ!」
真直ちゃんのせいで棒球になったストレートを場外ホームランされた。
「やったー!感無量ー!」
「メチャクチャだ」
その後もするゲームするゲームで真直ちゃんは豪快にズルをして僕を負かせ続けた。
「ひゃひゃひゃ」
ああもう。
「蓮見さん、どう?」
「なにが」
「腹の虫、収まった?」
「人を怒らせといて!・・・・・」
あれっ。
「収まった・・・・・・」
「ひゃひゃひゃ。腹が立った時の極意。別の事に怒れ!ひゃひゃひゃ!」
もしかして真直ちゃんて、深い、のか・・・・?