199 かわいいときれいならどちら?
文字数 1,130文字
難問を突きつけられた。
「蓮見さん。身の周りの女のひとをかわいいかきれいかで分類して」
「え」
そんなものなんで答えなきゃいけないんだ。
「義務だからね」
「真直 ちゃん。どういうこと?」
「答えなかったら『蓮見さんがみんなのこと全員不具合な容姿の人だって言ってた』って言うから」
やりかねない。
けど、答えたら答えたで大問題になるだろう。そもそも女性に対してこういう問答を有無言わずしかけてくることが真直ちゃんの僕に対するセクハラだし、僕が答えたらそれもセクハラだろう。
答えなかったらもっとセクハラに仕立て上げられるだろう。
どっちにしてもまずいんなら、僕の本当の気持ちを答えて置いた方がいいだろう。
「じゃあまず真直ちゃんから行くよ」
「えっ」
「なに?その反応は?まさか自分は除外してた?」
「う、ううん、そんなことないけど・・・・・・・・・わたしかあ・・・・・・」
「いい?言って」
「う、うん。ドーンと来い!」
なら。
「まず真直ちゃんは髪がつややかだ」
「ふ、ふうん」
「それから眉が少し太いのがいい感じ」
「眉が太いのコンプレックスなんだけど」
「どうして?僕はいいと思う」
「は、蓮見さん。そんな部分的なことよりもかわいいかきれいかを・・・・」
「真直ちゃんの鼻は形がとてもいい。ちょっと小さくて、呼吸も清涼な空気だけじゃなくて少し淀んだ空気でも頑張って吸い込もうっていう意思を感じる」
「蓮見さん、なんか無理矢理だよ」
「それからくちびる」
「く、くちびる・・・・?」
「みずみずしくて可憐だ」
僕は髪のてっぺんから足のつま先のその見えていない部分までひたすら褒め続けた。
決してお世辞を言うわけじゃない。
僕は事実真直ちゃんのからだのパーツひとつひとつがとても愛らしく感じる。
普段は暴虐の限りを尽くす彼女だけどほんとうは繊細な部分を持ってて、心根はとても優しいってことを僕は知ってる。
それは僕の周囲にいる女性全員。
「あ。真直ちゃん。肝心な部分を忘れてたよ」
「ふ、ふう・・・・な、なあにい」
なんか、こんな溶けそうになってる状態で言って大丈夫かな。
「眼が」
「眼、がぁ?」
「とても澄んでる」
真直ちゃんは思わず眼を閉じた。
そうして、掠れたため息をついた。
「は、蓮見さぁん・・・・わたしは結局どっちなのぉ・・・・・?」
「かわいいよ」
この『診断』が終わったあと、真直ちゃんが絶対誰にも言わないで、って言ってきた。
「もちろん言わないよ。限度を超えたイタズラしない限り」
「うーー・・・それはとても難しいことだよ。ねえ蓮見さん。最後にひとつ訊いていい?」
「なに」
「縁美さんは?」
やっぱりきたか。
でも答えは決まってる。
「言わないよ」
「いじわる」
だって。
縁美はかわいくてきれいだから。
「蓮見さん。身の周りの女のひとをかわいいかきれいかで分類して」
「え」
そんなものなんで答えなきゃいけないんだ。
「義務だからね」
「
「答えなかったら『蓮見さんがみんなのこと全員不具合な容姿の人だって言ってた』って言うから」
やりかねない。
けど、答えたら答えたで大問題になるだろう。そもそも女性に対してこういう問答を有無言わずしかけてくることが真直ちゃんの僕に対するセクハラだし、僕が答えたらそれもセクハラだろう。
答えなかったらもっとセクハラに仕立て上げられるだろう。
どっちにしてもまずいんなら、僕の本当の気持ちを答えて置いた方がいいだろう。
「じゃあまず真直ちゃんから行くよ」
「えっ」
「なに?その反応は?まさか自分は除外してた?」
「う、ううん、そんなことないけど・・・・・・・・・わたしかあ・・・・・・」
「いい?言って」
「う、うん。ドーンと来い!」
なら。
「まず真直ちゃんは髪がつややかだ」
「ふ、ふうん」
「それから眉が少し太いのがいい感じ」
「眉が太いのコンプレックスなんだけど」
「どうして?僕はいいと思う」
「は、蓮見さん。そんな部分的なことよりもかわいいかきれいかを・・・・」
「真直ちゃんの鼻は形がとてもいい。ちょっと小さくて、呼吸も清涼な空気だけじゃなくて少し淀んだ空気でも頑張って吸い込もうっていう意思を感じる」
「蓮見さん、なんか無理矢理だよ」
「それからくちびる」
「く、くちびる・・・・?」
「みずみずしくて可憐だ」
僕は髪のてっぺんから足のつま先のその見えていない部分までひたすら褒め続けた。
決してお世辞を言うわけじゃない。
僕は事実真直ちゃんのからだのパーツひとつひとつがとても愛らしく感じる。
普段は暴虐の限りを尽くす彼女だけどほんとうは繊細な部分を持ってて、心根はとても優しいってことを僕は知ってる。
それは僕の周囲にいる女性全員。
「あ。真直ちゃん。肝心な部分を忘れてたよ」
「ふ、ふう・・・・な、なあにい」
なんか、こんな溶けそうになってる状態で言って大丈夫かな。
「眼が」
「眼、がぁ?」
「とても澄んでる」
真直ちゃんは思わず眼を閉じた。
そうして、掠れたため息をついた。
「は、蓮見さぁん・・・・わたしは結局どっちなのぉ・・・・・?」
「かわいいよ」
この『診断』が終わったあと、真直ちゃんが絶対誰にも言わないで、って言ってきた。
「もちろん言わないよ。限度を超えたイタズラしない限り」
「うーー・・・それはとても難しいことだよ。ねえ蓮見さん。最後にひとつ訊いていい?」
「なに」
「縁美さんは?」
やっぱりきたか。
でも答えは決まってる。
「言わないよ」
「いじわる」
だって。
縁美はかわいくてきれいだから。