「辻沢ノーツ 43」
文字数 1,452文字
昨晩の猛烈な攻勢を思い出した。寸劇さんもこんな事は初めてだって言ってた。
もしかしたらユウがいたことに関係ある?
「ヒットしたよ。でも、アワノナルトの情報はブロックされたままだ。ちなみにどうやって参戦した? 参加資格のカードはどうやって取得した?」
「そんなのなかった。ズルしたんだよ。別のほうから青墓の杜に入って」
「別のほう? あの厳重な入場規制に穴なんてあるわけ・・・・」
「雄蛇ヶ池公園の南門側」
「それって青墓の東北辺だよね。あっこから入ったって? ツリだろ? あの辺りはあちこちに流砂があって、青墓を熟知している人でも足を踏み入れない場所だよ」
「でも、ユウについて行ったら簡単に集会場に潜り込めた」
サキが突然立ち上がり、
「もういい加減にしてよ。あんたの話は嘘だらけ。死人と一緒だったとか流砂の上を歩いて来たとか。ほら、とっととここから出てって」
と、あたしを乱暴にドアのほうに引き摺って行こうとする。
「ミヤミユはどうするの? 探さないの?」
「あたしが一人で探す、出てって!」
痛いよ。服が脱げちゃうじゃん。
「ここはあたしの部屋だし」
「は? ここはウチのベースキャンプ」
「だって、あたしはステー先から追い出されてここに泊まってて」
「ステー先? 何それ」
「みんな、それぞれホームステーすることになってたでしょ」
「はあ? ウチはずっとここだし、ミユウはバイパス沿いのホテル。あんたは何だって?」
「あたしはAさん宅に」
「それって最初に寄った洋館風の屋敷のことだろ。あの幽霊屋敷に泊まってたって笑」
「幽霊屋敷?」
「あそこは3年前の事件で犠牲になった子の家で、残された家族はその後、離散。今じゃ女の幽霊が出るって話だけど」
何言ってるの?
いったいどうなってるの?
世界が可怪しくなって来てる?
それともあたしがもともと可怪しいの?
フロントに行って部屋を確認すると、
「キャンセルされてます」
と言われた。
予約したハズと言うと、裏から昨日応対した人が出てきて、あの後すぐにご自分でキャンセルしに戻っていらっしゃいましたよねと不審そうな目をして言った。
「荷物も持って行かれました」
とも。
そう言うこと? ユウがあたしの名前を騙ったんだ。
でも、なんの目的で?
「それと、荷物を引き取られた後になりますが、お客様にメモを残された方がおいででした。必ず戻って来るとおっしゃいまして」
と2つに折られた薄黄色の紙を差し出した。
メモを受け取り中を見ると、
「バイパスのヤオマンホテル、905号室に来て。ミユウ」
とあった。
ミヤミユ、無事だったんだ。
すぐにミヤミユに会いに行こう。
ミヤミユに会って、ユウと何があったか聞いてみよう。
そうすれば、何か分かるんじゃないか。
どうしてカバンを持ち去ったのかとか、あの後どこに行ったのかとかも分かるかもしれない。
トモカク、今あたしにはミヤミユに会いに行くことぐらいしかできない。
なぜなら、あたしの持ち物はデニムのポケットに入っていたゴリゴリカード一枚だけだったから。
ホテルのロビーにあるおトイレで髪を洗った。
何かわからない固形物が髪にこびりついていて気持ち悪かった。
シャンプー代わりに緑の液体石鹸を使ったせいで頭がトイレ臭くなってよけい気分が悪い。
用具入れの雑巾を借りて濡れた髪を拭いたあと、脱いだパーカーと一緒に中に戻しておいた。
真っ白だったパーカーは汚泥なのか体液なのか元の色が分からないくらいに汚れていた。
こんな格好をしてたなんて、鏡の中の自分を見て悲しくなった。
下にタンクトップ着ていてよかった。
もしかしたらユウがいたことに関係ある?
「ヒットしたよ。でも、アワノナルトの情報はブロックされたままだ。ちなみにどうやって参戦した? 参加資格のカードはどうやって取得した?」
「そんなのなかった。ズルしたんだよ。別のほうから青墓の杜に入って」
「別のほう? あの厳重な入場規制に穴なんてあるわけ・・・・」
「雄蛇ヶ池公園の南門側」
「それって青墓の東北辺だよね。あっこから入ったって? ツリだろ? あの辺りはあちこちに流砂があって、青墓を熟知している人でも足を踏み入れない場所だよ」
「でも、ユウについて行ったら簡単に集会場に潜り込めた」
サキが突然立ち上がり、
「もういい加減にしてよ。あんたの話は嘘だらけ。死人と一緒だったとか流砂の上を歩いて来たとか。ほら、とっととここから出てって」
と、あたしを乱暴にドアのほうに引き摺って行こうとする。
「ミヤミユはどうするの? 探さないの?」
「あたしが一人で探す、出てって!」
痛いよ。服が脱げちゃうじゃん。
「ここはあたしの部屋だし」
「は? ここはウチのベースキャンプ」
「だって、あたしはステー先から追い出されてここに泊まってて」
「ステー先? 何それ」
「みんな、それぞれホームステーすることになってたでしょ」
「はあ? ウチはずっとここだし、ミユウはバイパス沿いのホテル。あんたは何だって?」
「あたしはAさん宅に」
「それって最初に寄った洋館風の屋敷のことだろ。あの幽霊屋敷に泊まってたって笑」
「幽霊屋敷?」
「あそこは3年前の事件で犠牲になった子の家で、残された家族はその後、離散。今じゃ女の幽霊が出るって話だけど」
何言ってるの?
いったいどうなってるの?
世界が可怪しくなって来てる?
それともあたしがもともと可怪しいの?
フロントに行って部屋を確認すると、
「キャンセルされてます」
と言われた。
予約したハズと言うと、裏から昨日応対した人が出てきて、あの後すぐにご自分でキャンセルしに戻っていらっしゃいましたよねと不審そうな目をして言った。
「荷物も持って行かれました」
とも。
そう言うこと? ユウがあたしの名前を騙ったんだ。
でも、なんの目的で?
「それと、荷物を引き取られた後になりますが、お客様にメモを残された方がおいででした。必ず戻って来るとおっしゃいまして」
と2つに折られた薄黄色の紙を差し出した。
メモを受け取り中を見ると、
「バイパスのヤオマンホテル、905号室に来て。ミユウ」
とあった。
ミヤミユ、無事だったんだ。
すぐにミヤミユに会いに行こう。
ミヤミユに会って、ユウと何があったか聞いてみよう。
そうすれば、何か分かるんじゃないか。
どうしてカバンを持ち去ったのかとか、あの後どこに行ったのかとかも分かるかもしれない。
トモカク、今あたしにはミヤミユに会いに行くことぐらいしかできない。
なぜなら、あたしの持ち物はデニムのポケットに入っていたゴリゴリカード一枚だけだったから。
ホテルのロビーにあるおトイレで髪を洗った。
何かわからない固形物が髪にこびりついていて気持ち悪かった。
シャンプー代わりに緑の液体石鹸を使ったせいで頭がトイレ臭くなってよけい気分が悪い。
用具入れの雑巾を借りて濡れた髪を拭いたあと、脱いだパーカーと一緒に中に戻しておいた。
真っ白だったパーカーは汚泥なのか体液なのか元の色が分からないくらいに汚れていた。
こんな格好をしてたなんて、鏡の中の自分を見て悲しくなった。
下にタンクトップ着ていてよかった。