「辻沢ノーツ 62」
文字数 1,131文字
ワゴン車から降りてきた恰幅のいい人が言った。
「この人ユウギリじゃないでしょ」
もう一人、
「いえ、本人がユウギリそっくりって言ってましたから」
サキの声?
「そっくりって、それコスプレーヤーでしょ。そういうのイラナイから」
「そうでなくて、この間の荒しはこいつの仕業で」
「そうなの? あの日だけで、リソース20パー削られたんだけど、こんなトロイのにやられたっての?」
「いいえ、そうじゃなくて、こいつはユウギリでなく、ノタなんだっけ、あんたのユーザー名」
「イザエモン」
「そう、イザエモンで。ノタ、この間話してたことをこの人にお話を」
「あ、君さ。もういいから。ちょっとだけ期待したけどさ」
「待ってください。こいつの話を聞いてください。顔も、ほらユウギリそっくじゃないですか?」
「ユウギリの顔知らないから苦労してるんだけどね」
背広はすでに半身になってワゴン車に戻りかけてる。
「君みたいのいるんだよね。ゲーム熱が昂じて運営に興味持つ人。でもそういう人、大概使えないの。あたしはね、そういう人にはもっと社会勉強しろって言うの、ゲームなんかしてないで」
「ゲームなんかって、『スレイヤー』シリーズ作ったのあなたでしょ」
「そうだっけ? あはは。みんなー、撤収! 今回もツリだったー。ご苦労さんねー」
蛭人間たちが一斉に被り物とった。みなさんあせびっしょり。
「なんだよ。終わり?」
「今日こそユウギリ確保できると思ったに」
「ホントのユウギリなら、俺ら今頃、ゾンビだよ」
「それな」
「まあ、ツリでよかったということで」
「しかし、なんでこうツリばっかなのかね」
「引っかかる伊礼COOも悪い」
イレイって、たしかヤオマンの副社長。
顔をよく見るとこの間、壇上で挨拶した人だった。
「ごめんね。リソースの保持はこのゲームの生命線でね。対応せまられてるから、ついね」
「やっぱ、大変なんだー、蛭人間の保守」
「あー、蛭人間とかって言っちゃだめだよー、リソースね、リソースのメンテ」
「すんませーん」
「COO、クビとかになったらいやっすよ」
「あのカス会長に何ができるよ」
「オレ、いつまでも伊礼COOに付いていくっす」
「ありがとう。緊急手当は、明日の朝、遊佐くんにもらってな」
「「「「「はーい」」」」」
「えーと君、名前なんて言ったけか。まいっか。じゃあ、インターンの話は無かったってことで」
一度に乗り込むの無理じゃないかな。
蛭人間さんたちドアの所で詰まっちゃってる。
あーあ、転んで起きれない奴いる。
やっと全員入れたみたい。
ワゴン車、行っちゃった。サキは置き去りか。
「うるさいな」
何も言ってないし。
サキはすたすた森の中を歩いてゆく。
あたしは一人でこんなところに置き去りにされるのは嫌だからサキの後に付いて行くことにした。
「この人ユウギリじゃないでしょ」
もう一人、
「いえ、本人がユウギリそっくりって言ってましたから」
サキの声?
「そっくりって、それコスプレーヤーでしょ。そういうのイラナイから」
「そうでなくて、この間の荒しはこいつの仕業で」
「そうなの? あの日だけで、リソース20パー削られたんだけど、こんなトロイのにやられたっての?」
「いいえ、そうじゃなくて、こいつはユウギリでなく、ノタなんだっけ、あんたのユーザー名」
「イザエモン」
「そう、イザエモンで。ノタ、この間話してたことをこの人にお話を」
「あ、君さ。もういいから。ちょっとだけ期待したけどさ」
「待ってください。こいつの話を聞いてください。顔も、ほらユウギリそっくじゃないですか?」
「ユウギリの顔知らないから苦労してるんだけどね」
背広はすでに半身になってワゴン車に戻りかけてる。
「君みたいのいるんだよね。ゲーム熱が昂じて運営に興味持つ人。でもそういう人、大概使えないの。あたしはね、そういう人にはもっと社会勉強しろって言うの、ゲームなんかしてないで」
「ゲームなんかって、『スレイヤー』シリーズ作ったのあなたでしょ」
「そうだっけ? あはは。みんなー、撤収! 今回もツリだったー。ご苦労さんねー」
蛭人間たちが一斉に被り物とった。みなさんあせびっしょり。
「なんだよ。終わり?」
「今日こそユウギリ確保できると思ったに」
「ホントのユウギリなら、俺ら今頃、ゾンビだよ」
「それな」
「まあ、ツリでよかったということで」
「しかし、なんでこうツリばっかなのかね」
「引っかかる伊礼COOも悪い」
イレイって、たしかヤオマンの副社長。
顔をよく見るとこの間、壇上で挨拶した人だった。
「ごめんね。リソースの保持はこのゲームの生命線でね。対応せまられてるから、ついね」
「やっぱ、大変なんだー、蛭人間の保守」
「あー、蛭人間とかって言っちゃだめだよー、リソースね、リソースのメンテ」
「すんませーん」
「COO、クビとかになったらいやっすよ」
「あのカス会長に何ができるよ」
「オレ、いつまでも伊礼COOに付いていくっす」
「ありがとう。緊急手当は、明日の朝、遊佐くんにもらってな」
「「「「「はーい」」」」」
「えーと君、名前なんて言ったけか。まいっか。じゃあ、インターンの話は無かったってことで」
一度に乗り込むの無理じゃないかな。
蛭人間さんたちドアの所で詰まっちゃってる。
あーあ、転んで起きれない奴いる。
やっと全員入れたみたい。
ワゴン車、行っちゃった。サキは置き去りか。
「うるさいな」
何も言ってないし。
サキはすたすた森の中を歩いてゆく。
あたしは一人でこんなところに置き去りにされるのは嫌だからサキの後に付いて行くことにした。