「辻沢ノーツ 24」

文字数 1,061文字

 フィールド調査初日の今日は、9時に辻女に伺って、教頭先生からインタビュイーに引き合わせていただく事になってる。

辻女までは徒歩でも行けるらしいけどバスで行くことにする。

辻沢のバス路線は田舎には珍しくすごく充実してて便利。

大概の所はバスで行ける。

「辻沢女子高校前まで」

(ゴリゴリーン)

混んでると思ったら通勤時間だった。

辻女行きの路線は一旦駅に向かうからめっちゃ混んでる。

駅に着いてひと段落。

やっと座れる。

わちゃわちゃいってバスパン女子が乗ってきた。

「苦渋からの脱出」ってロゴ入ったおそろTシャツ着てる。

女バスの遠征だ。

辻女に試合しに来たのかな。

「今日の試合、勝てるかな。なんか不安になってきた」

「強いからなー。辻女」

「でも今は合同だよ。女バス3人しかいなくて」

「そうだ。お嬢さんの桃李女子高と合同だって聞いた」

「あそこは進学校だから、高校に入ってバスケ始めた子しかいないはず」

「うちらは不動のチームだよ」

「勝てるよ、絶対」

「「「楽勝、楽勝」」」

「今日は勝ちもらったしょ」

「でも・・・・」

「「何よ」」

「辻女は3人だけですごいんだよ」

「そうだった」

「思い出した」

「この間の祭りの前日、大学生チームに3人だけで勝ったらしいよ」

あたしらのことかな。

「「「マジで?」」」

「実は強豪大学のスカウト試合で」

尾ひれ尾ひれ。

「大学生が5人の逆ハンデ戦だったって」

「「「「マジか?」」」」

「「「「「負けたー。どうしよー。もう負けたー」」」」」

 女バスの子たちと一緒に辻沢女子高前で降りた。彼女たち、しょげちゃって体育館のほうに歩
いて行ったけど、頑張ってほしいな。気持ちで負けるな!

 玄関で用件を言うと、応対に出て来た知らない男の先生が、

「ごめんね。教頭先生、まだいらしてないんだよね。いつもの急用ってやつで」

「急用ですか」

「教頭先生から代打を頼まれたんだけど、僕もちょっと手が離せなくてね。悪いんだけれども住所教えるから、一人で行ってくれるかな」

どうしよ。

「大丈夫? だよね」

「あ、はい。ダイジョブです」

仕方ないからとにかく一人で行くだけ行ってみよう。

体育館から声する。

試合始まるんだね。

ガンバレ、女バス。

 で、またバス。

「すみません、ゴリゴリカードって買えますか?」

メガネを掛けた気の良さそうな運転手さんが、いっぱいゴリゴリカード出してくれて、選んでって。

辻女の冬服があったからそれにした。

やっぱりこのモデル、エリさんなんじゃないかな。

ゴリゴリカード2枚になった。

この調子でサキみたくコンプできるかな。

あと14枚か。

辻沢に骨埋める覚悟いるな。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み