第248話
文字数 569文字
まりあからメッセージがきていたことを思い出してスマホを取り出す。バタバタしていて返信できていなかった。不満そうに口を尖らせたまりあの顔が思い浮かんで上茶谷は小さく微笑んでしまう。出会った当初こそまりあのことも警戒していたのに、よくわからないうちに心を許していたことを思いだす。
まりあは当たり前のようにそこにいるのに、決して押し付けがましくない。一緒にいるとどこかワクワクする感じ。青い空の下ピクニックをしている高揚感に似ていたけれど、そこにヒリつくような恋の熱なんて微塵もなかった。だからこそ上茶谷は二人の関係を一歩すすめることに躊躇した。優しいあの空間を壊すのが怖かったから。
その考えは共同生活によって変化していく。まりあが実際に坂口に惹かれていくのをまの当たりにして、上茶谷自身が驚くほど焦燥感に囚われた。そのぴりぴりした感情にはひりくつようなあの
だからあの時、まりあに対して上茶谷は確信犯的に囁いた。試してみる? と。
まりあは当たり前のようにそこにいるのに、決して押し付けがましくない。一緒にいるとどこかワクワクする感じ。青い空の下ピクニックをしている高揚感に似ていたけれど、そこにヒリつくような恋の熱なんて微塵もなかった。だからこそ上茶谷は二人の関係を一歩すすめることに躊躇した。優しいあの空間を壊すのが怖かったから。
その考えは共同生活によって変化していく。まりあが実際に坂口に惹かれていくのをまの当たりにして、上茶谷自身が驚くほど焦燥感に囚われた。そのぴりぴりした感情にはひりくつようなあの
熱
が確かにあった。おそらく今がまりあとの関係が変わる最初で、最後のチャンスなのだ。ここを逃したらきっと、彗星がぎりぎりまで地球に近づいたあと放物線の軌道に乗って永遠に離れていくように、まりあは上茶谷から手の届かない場所へ永遠にざかっていく。ここで何もアクションをおこさずにいたら、上茶谷は一生悔やむだろう。だからあの時、まりあに対して上茶谷は確信犯的に囁いた。試してみる? と。