第139話
文字数 585文字
本気なのか冗談なのかわからない表情。子供みたいに口を尖らせて笑う上島は、ちっとも変わらないと上茶谷はため息混じりの苦笑を浮かべる。
「プレゼン前に申し訳ないけれど、そんな私情を挟んでくる人と仕事できないわ」
あえてサバサバそう言うと上島はふきだした。
「至極真っ当なご意見です」
彼がくしゃりと笑うと目尻がさがり、ほんのすこし小さな笑いじわができる。そんな表情は強面 でシニカルなところがある上島の、近寄りがたい空気を一気に消してしまう。
「確かに私情も多少はいっていることは認める。ただパートナーとして組むのに、できるだけお互いの状況は知っておいたほうがいいと思ってる。俺のほうはまったくなんの問題もなく、仕事に取り組める環境ですから」
離婚が成立したらしい上島はそういって自嘲気味に笑う。
「私もプライベートに関係なく仕事はきちんとこなすつもりだけど?」
静かにそういって顔をあげた上茶谷を上島は目を細めて頷いた。
「うん、それもよく知ってる。ただ大悟は苦しくても辛くてもそれを内側にため込んでしまうから。些細なことでもお前のことは知っておきたいって思ってる。いや、……些細なことじゃないな」
上島は脚を組むと、そこに肘をついて頬杖をついて、上茶谷を見つめた。
「今俺が確認しようとしているのは、大悟の価値観を根底からゆさぶっている事じゃないかな。俺の言っていること、違う?」
「プレゼン前に申し訳ないけれど、そんな私情を挟んでくる人と仕事できないわ」
あえてサバサバそう言うと上島はふきだした。
「至極真っ当なご意見です」
彼がくしゃりと笑うと目尻がさがり、ほんのすこし小さな笑いじわができる。そんな表情は
「確かに私情も多少はいっていることは認める。ただパートナーとして組むのに、できるだけお互いの状況は知っておいたほうがいいと思ってる。俺のほうはまったくなんの問題もなく、仕事に取り組める環境ですから」
離婚が成立したらしい上島はそういって自嘲気味に笑う。
「私もプライベートに関係なく仕事はきちんとこなすつもりだけど?」
静かにそういって顔をあげた上茶谷を上島は目を細めて頷いた。
「うん、それもよく知ってる。ただ大悟は苦しくても辛くてもそれを内側にため込んでしまうから。些細なことでもお前のことは知っておきたいって思ってる。いや、……些細なことじゃないな」
上島は脚を組むと、そこに肘をついて頬杖をついて、上茶谷を見つめた。
「今俺が確認しようとしているのは、大悟の価値観を根底からゆさぶっている事じゃないかな。俺の言っていること、違う?」