第153話
文字数 720文字
ナナは羽根のようなまつげをパタパタさせて、まりあをじっとみていたから、ブンブンと首を振ってみせた。
「違う違う。そうではないんだけど。色々難しくて……」
そういうまりあにナナが口を尖らせる。
「うーん。ちょっとよくわからないんですけれど。両想いなのに、どうして付き合わないんですかー?」
「それは……」
なかなかうまい説明がおもいつかず口ごもってしまう。しばらく言葉を待っていたナナは時間切れというようにスッパリ言った。
「説明できないような人、意味ないじゃないですかー?」
すこーんと竹を割るような口調で言われてしまい反射的に反論してしまう。
「意味ないって、そんなことないよ!」
まりあの剣幕に驚いた様子のナナをみて、はっとする。
「あ、ごめんね。ええとね。なんていえばいいのかな。その人とは一緒にいるだけで心が落ち着いて、ホッとするの。それが私にとっての大切な"意味”だから、意味はあるの、うん」
自分に言い聞かせるようにそう言うまりあを見つめていたナナが、口を開いた。
「こちらこそ、気を悪くさせてたらすいません。……意味無いっていったのはぶっちゃけてしまうと、板野さんにとってというより、私にとって意味無いっていうことなんです。お互い好きなんですよね? それなのにつきあわない。それってなんだかずるいなって思ってしまったんですよー」
「ずるい?」
首を捻ったまりあに、ナナは小さく苦笑した。
「そんな中途半端な関係、坂口さんが納得する訳がないじゃないですかー。板野さんいいとこ取りだなって」
中途半端な関係。いいとこ取り。その言葉が思いのほか胸の奥で響く。ナナが言葉を続ける。
「坂口さんが半端ない根性の持ち主だって、板野さんも知ってますよね?」
「違う違う。そうではないんだけど。色々難しくて……」
そういうまりあにナナが口を尖らせる。
「うーん。ちょっとよくわからないんですけれど。両想いなのに、どうして付き合わないんですかー?」
「それは……」
なかなかうまい説明がおもいつかず口ごもってしまう。しばらく言葉を待っていたナナは時間切れというようにスッパリ言った。
「説明できないような人、意味ないじゃないですかー?」
すこーんと竹を割るような口調で言われてしまい反射的に反論してしまう。
「意味ないって、そんなことないよ!」
まりあの剣幕に驚いた様子のナナをみて、はっとする。
「あ、ごめんね。ええとね。なんていえばいいのかな。その人とは一緒にいるだけで心が落ち着いて、ホッとするの。それが私にとっての大切な"意味”だから、意味はあるの、うん」
自分に言い聞かせるようにそう言うまりあを見つめていたナナが、口を開いた。
「こちらこそ、気を悪くさせてたらすいません。……意味無いっていったのはぶっちゃけてしまうと、板野さんにとってというより、私にとって意味無いっていうことなんです。お互い好きなんですよね? それなのにつきあわない。それってなんだかずるいなって思ってしまったんですよー」
「ずるい?」
首を捻ったまりあに、ナナは小さく苦笑した。
「そんな中途半端な関係、坂口さんが納得する訳がないじゃないですかー。板野さんいいとこ取りだなって」
中途半端な関係。いいとこ取り。その言葉が思いのほか胸の奥で響く。ナナが言葉を続ける。
「坂口さんが半端ない根性の持ち主だって、板野さんも知ってますよね?」