第237話
文字数 668文字
怪訝な表情を浮かべている上茶谷に坂口は構わず続ける。
「この一ヶ月でわかったのは……俺たち三人って妙にバランスが取れているんですよ。そう思いません?」
「……でもいつか、このバランスは崩れる。そうでしょ?」
上茶谷がすぐにそう返すと坂口も頷いた。
「まあ、そうですね。このままなら壊れるでしょうね。……でも壊さない方法もなくはない」
「……どういうこと?」
眉を軽く寄せてそうたずねた上茶谷を見て、坂口がにやりと笑って答えた。
「あなたが俺
まじまじと坂口の顔をみつめた後、上茶谷は大きなため息をついてみせた。
「……坂口さん、あなたバカなの?」
「冗談ですよ」
呆れ顔の上茶谷を見て坂口は楽しそうに笑った。
「あのー!」
スティック状に切った野菜にお手製らしいディップと、鶏ハムを平皿に載せてリビングに戻ってきたまりあが、ふたりの会話に割ってはいるように声をかけてきた。
「最近というか、前から思っていたんですけど! ダイゴさんと坂口くん、なーんか仲良しですよね、やっぱり」
ソファの前にあるローテーブルに皿を置くと、まりあが拗ねたようにそういうから、坂口が頬杖をついてまりあを見上げ笑った。
「まりあさん、嫉妬してます?」
「はあ? 坂口くんのそーいうーとこ、やっぱりムカつく! 鶏ハムもディップも食べさせないよ」
「えー-。それは困る。すいませんでした」
相変わらずの二人のやりとりに上茶谷は思わず笑ってしまう。何時までも続きそうな和やかな時間。けれど必ずこのバランスが崩れるという不穏さも確かに感じて。上茶谷はそっと吐息をついた。
「この一ヶ月でわかったのは……俺たち三人って妙にバランスが取れているんですよ。そう思いません?」
「……でもいつか、このバランスは崩れる。そうでしょ?」
上茶谷がすぐにそう返すと坂口も頷いた。
「まあ、そうですね。このままなら壊れるでしょうね。……でも壊さない方法もなくはない」
「……どういうこと?」
眉を軽く寄せてそうたずねた上茶谷を見て、坂口がにやりと笑って答えた。
「あなたが俺
とも
つきあえばいい」まじまじと坂口の顔をみつめた後、上茶谷は大きなため息をついてみせた。
「……坂口さん、あなたバカなの?」
「冗談ですよ」
呆れ顔の上茶谷を見て坂口は楽しそうに笑った。
「あのー!」
スティック状に切った野菜にお手製らしいディップと、鶏ハムを平皿に載せてリビングに戻ってきたまりあが、ふたりの会話に割ってはいるように声をかけてきた。
「最近というか、前から思っていたんですけど! ダイゴさんと坂口くん、なーんか仲良しですよね、やっぱり」
ソファの前にあるローテーブルに皿を置くと、まりあが拗ねたようにそういうから、坂口が頬杖をついてまりあを見上げ笑った。
「まりあさん、嫉妬してます?」
「はあ? 坂口くんのそーいうーとこ、やっぱりムカつく! 鶏ハムもディップも食べさせないよ」
「えー-。それは困る。すいませんでした」
相変わらずの二人のやりとりに上茶谷は思わず笑ってしまう。何時までも続きそうな和やかな時間。けれど必ずこのバランスが崩れるという不穏さも確かに感じて。上茶谷はそっと吐息をついた。