第181話
文字数 541文字
まりあは上島のかわりに、名刺をじっと睨んでしまう。勝ち誇った表情でニヤリと笑っている上島がイメージとしてすぐ浮かんできて、じわじわと怒りがこみ上げてくる。
「これって面と向かってわたしにドヤって言いたいってこと?」
ぼそりとそう呟いて腹立ち紛れに名刺をビリッと2つに切り裂いてしまう。勢いでさらにその半分にちぎろうとしたところで、まりあの手が止まる。昨夜、上島が何かを言いかけていた顔が脳内で再生されたのだ。彼は本当に驚いた様子だった。手元にある半分に切れた名刺を見つめる。短い一文の下に同じ字体で書かれたプライベート用らしい携帯番号も。上島はまりあもよく知っている会社の社長で、なおかつ上茶谷と新しい事業を始めようとしている。振られたまりあを面白半分にからかう暇などあるはずがない。
(じゃあ、どうして……?)
名刺を見つめたけれどその答えが見つかるはずも無い。そもそも上島は上茶谷と知り合わなければ、出会うこともなかっただろうタイプの人間だ。上島が何を考えているかなんてわかる訳がない。半分に切ってしまったその名刺をみつめながら、しばらく思考を漂わせたけれどまりあは諦めたように軽く首を振る。それから半分になった名刺をバッグにしまいこみ、ひとつ大きな吐息をついてからドアを開けた。
「これって面と向かってわたしにドヤって言いたいってこと?」
ぼそりとそう呟いて腹立ち紛れに名刺をビリッと2つに切り裂いてしまう。勢いでさらにその半分にちぎろうとしたところで、まりあの手が止まる。昨夜、上島が何かを言いかけていた顔が脳内で再生されたのだ。彼は本当に驚いた様子だった。手元にある半分に切れた名刺を見つめる。短い一文の下に同じ字体で書かれたプライベート用らしい携帯番号も。上島はまりあもよく知っている会社の社長で、なおかつ上茶谷と新しい事業を始めようとしている。振られたまりあを面白半分にからかう暇などあるはずがない。
(じゃあ、どうして……?)
名刺を見つめたけれどその答えが見つかるはずも無い。そもそも上島は上茶谷と知り合わなければ、出会うこともなかっただろうタイプの人間だ。上島が何を考えているかなんてわかる訳がない。半分に切ってしまったその名刺をみつめながら、しばらく思考を漂わせたけれどまりあは諦めたように軽く首を振る。それから半分になった名刺をバッグにしまいこみ、ひとつ大きな吐息をついてからドアを開けた。