第192話
文字数 652文字
まりあは考える。ここで訂正すべきなのか。けれど訂正したらしたでなんといえばいいのか。咄嗟には判断できない。そのふっと空いた間 に昼間聞いたばかりの声が背後から割り込んだ。
「まりあさんちゃんお待たせー。あれ? 友達?」
まりあと一緒にナナも振り返り同じように固まった。そこには待ち合わせをした上島が、興味津々という様子で2人を見下ろしていた。数秒の沈黙のあと。ナナがまりあにだけ聞こえる小さな声で囁いた。
「……板野さん」
「……はい」
「このチャラそうな金髪イケメンはどなたですか?」
「えーとえーと……」
夏の湿度によるものとはまた違う種類の汗が、まりあの背中にすうっと流れた。とにかくなにか言わなくては。焦ったまりあが口を開きかけたその時だった。
「あ、俺まりあちゃんの彼氏の上島です。よろしく」
「「はあ?!」」
勝手に空気を察して自己紹介した上島に対して、まりあとナナが同時に不穏な叫び声をあげると彼は楽しそうにカラカラ笑う。
「あ、やっぱり違うってすぐバレちゃった?」
呑気に笑う金髪男にまりあが噛み付く。
「上島さん! ワケがわからない事を言うのやめてください! 混乱します!」
「だってそう言った方が話が早いかなって思って」
この状況を面白がっているのが丸わかりの笑顔で上島がしれっと答える。
「早くない! それどころか余計話がこんがらがっちゃいます!」
二人の言い合いをじっと見ていたナナがぼそりと呟いた。
「なんだかおふたり、仲が良さそうですねー」
まりあは慌ててナナのほうに振り返ってブンブンと首を振る。
「まりあさんちゃんお待たせー。あれ? 友達?」
まりあと一緒にナナも振り返り同じように固まった。そこには待ち合わせをした上島が、興味津々という様子で2人を見下ろしていた。数秒の沈黙のあと。ナナがまりあにだけ聞こえる小さな声で囁いた。
「……板野さん」
「……はい」
「このチャラそうな金髪イケメンはどなたですか?」
「えーとえーと……」
夏の湿度によるものとはまた違う種類の汗が、まりあの背中にすうっと流れた。とにかくなにか言わなくては。焦ったまりあが口を開きかけたその時だった。
「あ、俺まりあちゃんの彼氏の上島です。よろしく」
「「はあ?!」」
勝手に空気を察して自己紹介した上島に対して、まりあとナナが同時に不穏な叫び声をあげると彼は楽しそうにカラカラ笑う。
「あ、やっぱり違うってすぐバレちゃった?」
呑気に笑う金髪男にまりあが噛み付く。
「上島さん! ワケがわからない事を言うのやめてください! 混乱します!」
「だってそう言った方が話が早いかなって思って」
この状況を面白がっているのが丸わかりの笑顔で上島がしれっと答える。
「早くない! それどころか余計話がこんがらがっちゃいます!」
二人の言い合いをじっと見ていたナナがぼそりと呟いた。
「なんだかおふたり、仲が良さそうですねー」
まりあは慌ててナナのほうに振り返ってブンブンと首を振る。