第243話
文字数 607文字
「歩いていたらたまたま、見えたんで」
「よく気づいたね。わたしなら絶対見過ごしてる!」
まりあが目をまんまるにしてそう小さく叫ぶと、坂口は表情を緩めた。
「この店、テラス席があって窓がでかいじゃないですか。なんとなく店の中をみたら、まりあさんもでかい口あけて食べてるのが見えたから、素通りできなくなりました」
「ひどっ」
そこで上島がくすりと笑った。
「仲良いねえ、二人。えーとサカグチくんだよね。ひさしぶり」
坊やと呼んだ坂口が突然現れても動揺する気配もなく、しれっとそういって笑う上島に坂口も苦笑する。
「お久しぶりです。どうしたんですか。二人でランチなんて」
「あ、俺がね、ちょうど時間があいたから、まりあちゃんにランチでもどうって誘ったの」
坂口が口をへの字にするようにして笑う。
「なるほど。情報収集にぬかりはないと」
「その言い方。かわいくねえなあ」
「拗ねてるだけですよ。俺も誘ってくれればいいじゃないですか」
「悪いけどまりあちゃんと二人だけがよかったの」
「感じ悪いっすね」
会話の内容はどこか尖っているのにお互いの間合いをわかっていて、それを楽しんでいるような気配もある。ほとんど面識がないにもが関わらず、だ。二人がどことなく似ていると感じるのは気のせいだろうか。まりあはぼんやりと考える。
「まりあさん、そろそろ昼休み終わりますよ?」
坂口に不意にそういわれて慌ててスマホをみると、十二時四十八分と表示されている。
「よく気づいたね。わたしなら絶対見過ごしてる!」
まりあが目をまんまるにしてそう小さく叫ぶと、坂口は表情を緩めた。
「この店、テラス席があって窓がでかいじゃないですか。なんとなく店の中をみたら、まりあさんもでかい口あけて食べてるのが見えたから、素通りできなくなりました」
「ひどっ」
そこで上島がくすりと笑った。
「仲良いねえ、二人。えーとサカグチくんだよね。ひさしぶり」
坊やと呼んだ坂口が突然現れても動揺する気配もなく、しれっとそういって笑う上島に坂口も苦笑する。
「お久しぶりです。どうしたんですか。二人でランチなんて」
「あ、俺がね、ちょうど時間があいたから、まりあちゃんにランチでもどうって誘ったの」
坂口が口をへの字にするようにして笑う。
「なるほど。情報収集にぬかりはないと」
「その言い方。かわいくねえなあ」
「拗ねてるだけですよ。俺も誘ってくれればいいじゃないですか」
「悪いけどまりあちゃんと二人だけがよかったの」
「感じ悪いっすね」
会話の内容はどこか尖っているのにお互いの間合いをわかっていて、それを楽しんでいるような気配もある。ほとんど面識がないにもが関わらず、だ。二人がどことなく似ていると感じるのは気のせいだろうか。まりあはぼんやりと考える。
「まりあさん、そろそろ昼休み終わりますよ?」
坂口に不意にそういわれて慌ててスマホをみると、十二時四十八分と表示されている。