第18話
文字数 789文字
「秘密、なんてもったいぶらないでくださいよ。友達ならスペシャルゲストとしてインパクト弱いし。……まさか元カレですか?」
横目でちらりとみて呟いた坂口にまりあはブンブンと首を振ってみせた。
「まさか。もっとスペシャルなゲストだし!」
意気込んでそういうまりあに、坂口は瞳を見開いたあと、ふうんと呟いて柔らかく目尻を下げた。
「とにかく。答えがわからないクイズみたいでモヤモヤするから早く教えてくださいよ。集中力が落ちて仕事ミスったら板野さんのせいですから」
「よくいうなあ。聞きたがりなだけなくせに。説明したら長くなるし、今度飲み会があったら教えてあげるよ」
のんびりした口調でまりあがそう答えると、坂口はため息混じりに呟く。
「……飲み会なんてしばらくないでしょう。まあいいですけど……」
そう坂口がぶつぶつ言っているところに声がかかる。
「坂口さーん、八番にK化学工業の川淵さんからお電話はいってますー」
背後から響いてきたかわいらしい声に坂口が手をあげる。
「はい。今でます」
愛想よくそう答えたあと、まりあには真面目な顔をして、今度ちゃんと教えて下さいよ? と念押しして彼はようやく自分の席に戻っていった。まりあはやれやれと笑いながら吐息をついた。坂口は誘導尋問がうまくて、かつての飲み会では何度も余計なことをしゃべってしまい、後から後悔する事が多々あった。次から気をつけなくてはといつも思うのに彼の口車に乗せられ、うっかりしゃべってしまう。
正人と別れたばかりの頃は気持ちがたかぶっていたせいか、飲んでもいないのに給湯室で坂口に愚痴をこぼしてしまった。それで未だに孤独のケーキなんて言われる始末だ。Gとの格闘なんて話をしたらまたネタにされるとまりあは気を引き締める。
「すいませーん。板野さーん」
「はい」
振り返ると、いま坂口に電話を取り次いだ入社二年目の渡瀬ナナが後ろにたっていた。
横目でちらりとみて呟いた坂口にまりあはブンブンと首を振ってみせた。
「まさか。もっとスペシャルなゲストだし!」
意気込んでそういうまりあに、坂口は瞳を見開いたあと、ふうんと呟いて柔らかく目尻を下げた。
「とにかく。答えがわからないクイズみたいでモヤモヤするから早く教えてくださいよ。集中力が落ちて仕事ミスったら板野さんのせいですから」
「よくいうなあ。聞きたがりなだけなくせに。説明したら長くなるし、今度飲み会があったら教えてあげるよ」
のんびりした口調でまりあがそう答えると、坂口はため息混じりに呟く。
「……飲み会なんてしばらくないでしょう。まあいいですけど……」
そう坂口がぶつぶつ言っているところに声がかかる。
「坂口さーん、八番にK化学工業の川淵さんからお電話はいってますー」
背後から響いてきたかわいらしい声に坂口が手をあげる。
「はい。今でます」
愛想よくそう答えたあと、まりあには真面目な顔をして、今度ちゃんと教えて下さいよ? と念押しして彼はようやく自分の席に戻っていった。まりあはやれやれと笑いながら吐息をついた。坂口は誘導尋問がうまくて、かつての飲み会では何度も余計なことをしゃべってしまい、後から後悔する事が多々あった。次から気をつけなくてはといつも思うのに彼の口車に乗せられ、うっかりしゃべってしまう。
正人と別れたばかりの頃は気持ちがたかぶっていたせいか、飲んでもいないのに給湯室で坂口に愚痴をこぼしてしまった。それで未だに孤独のケーキなんて言われる始末だ。Gとの格闘なんて話をしたらまたネタにされるとまりあは気を引き締める。
「すいませーん。板野さーん」
「はい」
振り返ると、いま坂口に電話を取り次いだ入社二年目の渡瀬ナナが後ろにたっていた。