第218話
文字数 634文字
今、目の前で交わされている会話は尖っているようで、お互い間合いをわかったうえでしている。それが伝わってきてまりあを困惑させた。
「ふたり、いつのまに仲良しに?」
上茶谷と坂口は顔を見合わせて苦笑した。
「こういうのを仲良しとはいわないでしょ。坂口さん、一度うちの店 にきてくれて話はしたことがあるからね」
「え! そうなんですか? 坂口くん全然言ってくれないから……」
ビックリ顔をしたまりあに対して、坂口も困ったように微笑んだ。
「話すタイミングがなかったじゃないですか」
お互い仕事が立て込んでいたこともあるが、告白されて以来互いにどこか遠慮するような空気ができて、以前のように自然に会話ができなくなっていた。だから余計、坂口から電話をしてきたうえに部屋まで訪ねてきたことはまりあを驚かせたのだ。
「さてと。そろそろハッキリさせたいと思っていたんですけど」
坂口は麦茶を一気に飲み干してからそう呟いて、ひとつ吐息をついた。恐らく彼は何かを決めてここに来たのだ。そう感じたまりあは身体を固くしたけれど、坂口はまりあではなく上茶谷に向き合った。
「あのとき。俺が店に行ったときですけど、上茶谷さんはまりあさんに振られちゃだめだって言ってくれましたよね」
まりあは上茶谷を見つめた。上茶谷は顔色ひとつ変えずに坂口を見ている。その横顔に揺らぎはない。まりあは思わず手のひらをギュッと握りしめる。そのほんの数秒後上茶谷が口を開いた。
「確かに言ったわね」
「……今もそう言ってくれますか?」
「ふたり、いつのまに仲良しに?」
上茶谷と坂口は顔を見合わせて苦笑した。
「こういうのを仲良しとはいわないでしょ。坂口さん、一度うちの
「え! そうなんですか? 坂口くん全然言ってくれないから……」
ビックリ顔をしたまりあに対して、坂口も困ったように微笑んだ。
「話すタイミングがなかったじゃないですか」
お互い仕事が立て込んでいたこともあるが、告白されて以来互いにどこか遠慮するような空気ができて、以前のように自然に会話ができなくなっていた。だから余計、坂口から電話をしてきたうえに部屋まで訪ねてきたことはまりあを驚かせたのだ。
「さてと。そろそろハッキリさせたいと思っていたんですけど」
坂口は麦茶を一気に飲み干してからそう呟いて、ひとつ吐息をついた。恐らく彼は何かを決めてここに来たのだ。そう感じたまりあは身体を固くしたけれど、坂口はまりあではなく上茶谷に向き合った。
「あのとき。俺が店に行ったときですけど、上茶谷さんはまりあさんに振られちゃだめだって言ってくれましたよね」
まりあは上茶谷を見つめた。上茶谷は顔色ひとつ変えずに坂口を見ている。その横顔に揺らぎはない。まりあは思わず手のひらをギュッと握りしめる。そのほんの数秒後上茶谷が口を開いた。
「確かに言ったわね」
「……今もそう言ってくれますか?」