第7話
文字数 909文字
ドアの隙間から恐る恐る顔を出してまりあは外を覗き込んだ。薄暗い通路にしゃがみこんで、うずくまっている人がいる。不審者をたまたま撃退したナイスタイミングだったのか。罪のない通行人にぶつけてしまったバッドタイミングだったのか。可能性としては後者の方が圧倒的に高い。まりあは一瞬フリーズしたあと口を開こうとした。けれどその前にうずくまっていた人がばっと顔をあげた。
「ちょっと、あなた!」
やや甲高い声に白い肌、整った顔立ち。びっくりして言葉が引っ込んでしまう。まりあは瞬きをするのも忘れて相手を見つめてしまう。その人はこめかみのあたりを押さえながらゆっくりと立ち上がった。意外と背が高い。まりあより少なく見積もっても二十センチは上背がありそうだった。
「いきなりドアを人に直撃させといて、すみませんの一言くらい言えないの?」
切れ長の瞳でキッと睨まれた。ズバッと直球な正論を投げられてまりあは慌てて頭を下げる。
「す、すいませんでした。まさかそこに人がいるとは思わなくて……」
「私、隣の部屋なんだけど。あなたの部屋から叫び声とか、モノが落ちる音とか走りまわる音とかガンガン聞こえてきたから驚いて。いつも割と静かでしょ? 強盗とか変質者でも侵入して殺人事件でも起きてたらどうしようかと様子を見に来たらいきなりドアが開いて……腕も痛いけど、顔! ココみてよ! 腫れてない?」
その人はそんな口調でまくし立て自分のこめかみあたりを指した。まりあはおずと近づいてその人の顔を見上げる。近くでみても肌も顔立ちもまりあよりもよっぽど綺麗で、どこかのモデルと言われても頷いてしまうほどだ。全体の骨格は男性特有の骨ばった感じで、声も低いから基本的には男性なのだろう。こめかみあたりから目の下までうっすらと赤くなっているのが、白い肌から浮き上がって見えるのが痛々しい。ドアは相当な勢いで開けたからかなり痛かったのは間違いないと、まりあは申し訳なくなる。
「赤くなってます。痛いですよね。本当にすいませんでした。あ、あの、タオルを冷やしてきましょうか?」
何度もペコペコ頭をさげながらそういうと、その人は少し視線を泳がせたあと小さくため息をついた。
「ちょっと、あなた!」
やや甲高い声に白い肌、整った顔立ち。びっくりして言葉が引っ込んでしまう。まりあは瞬きをするのも忘れて相手を見つめてしまう。その人はこめかみのあたりを押さえながらゆっくりと立ち上がった。意外と背が高い。まりあより少なく見積もっても二十センチは上背がありそうだった。
「いきなりドアを人に直撃させといて、すみませんの一言くらい言えないの?」
切れ長の瞳でキッと睨まれた。ズバッと直球な正論を投げられてまりあは慌てて頭を下げる。
「す、すいませんでした。まさかそこに人がいるとは思わなくて……」
「私、隣の部屋なんだけど。あなたの部屋から叫び声とか、モノが落ちる音とか走りまわる音とかガンガン聞こえてきたから驚いて。いつも割と静かでしょ? 強盗とか変質者でも侵入して殺人事件でも起きてたらどうしようかと様子を見に来たらいきなりドアが開いて……腕も痛いけど、顔! ココみてよ! 腫れてない?」
その人はそんな口調でまくし立て自分のこめかみあたりを指した。まりあはおずと近づいてその人の顔を見上げる。近くでみても肌も顔立ちもまりあよりもよっぽど綺麗で、どこかのモデルと言われても頷いてしまうほどだ。全体の骨格は男性特有の骨ばった感じで、声も低いから基本的には男性なのだろう。こめかみあたりから目の下までうっすらと赤くなっているのが、白い肌から浮き上がって見えるのが痛々しい。ドアは相当な勢いで開けたからかなり痛かったのは間違いないと、まりあは申し訳なくなる。
「赤くなってます。痛いですよね。本当にすいませんでした。あ、あの、タオルを冷やしてきましょうか?」
何度もペコペコ頭をさげながらそういうと、その人は少し視線を泳がせたあと小さくため息をついた。