第203話

文字数 704文字

「上島さんともあろーうお方が ハニトラだとか賭けだとか。余計なことをごちゃごちゃ言ってないで、さっさと勇気だしてダイゴさんとくっついたらいいでしょ!
 わたしはですね、ダイゴさんに明らかに避けられてるんですよ? そもそもダイゴさんは女性を愛せない人だって上島さんが一番わかってるじゃないですか。それをわざわざこんなトコに呼び出されてなんでわたしが負けるってわかっている賭けなんかしなきゃいけないんですかっ! 
 わたしに見せつけようとか笑ってやろうとおもってます? 飛ぶ鳥を落とす勢いのNuts Musicの社長さんがそこまでちっさい人物なんてね、こりゃビックリですよ。生憎ですけどね、そんな賭けをわざわざして負けた挙げ句ダイゴさんと全く話せなくなるくらいなら、指咥えてイチャイチャしている二人をみているほうが百倍…いやそれはない、十倍マシですからっ! 
 ダイゴさんは引越しで離れてもずっと友達だっていってくれたんですよ。だから友達としてダイゴさんの横にいて上島さんの邪魔をしてあげます。ざまーみろってヤツですわっ!」

 溜まりに溜まっていた鬱憤をすべて吐き出す、人生最速スピードのマシンガントークをぶち放したまりあは、はあはあと呼吸が乱れてしまった。落ち着くために目の前にあったほうじ茶のはいった茶碗を手に取り、勢いよく飲んだら予想外に熱くてあちっー! と叫んで吹き出してしまった。

 ゲホゲホいいながらハンカチで口を拭くまりあを、驚いた顔をして見ていた上島の表情がくしゃりと歪んだ。それからまりあもビックリするような大爆笑が始まった。のけぞるようにして大笑いしている上島を、まりあは呆気にとられながらみつめる。

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登場人物紹介

【主要キャラ】


・板野まりあ(いたのまりあ)31歳 保険会社勤務の会社員 天然系ですこしぼけているけれど、自炊して節約するしっかりモノ。



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