第225話
文字数 671文字
上茶谷はソファから立ち上がり窓からみえる夜景を見つめる。タワマンとまではいかないけれど、眺めのいい十二階にあるマンションの部屋からは、川沿いに立ち並ぶビル群の眩いばかりのイルミネーションを楽しむことができる。
本来ならこの光景をひとりで眺めていたはずなのに。そこまで考えて上茶谷は思わずひとりで笑い出してしまいそうになり、慌てて口元を引き締めた。すごーい! 綺麗! と夜景をみるたびにいちいち叫ぶまりあと、あ、ほんとですね、なんて淡々とそれに応じつつ、外のイルミネーションなんてそっちのけでソファでビールグラスを傾ける坂口まで一緒に住むことになるとは。
暑さがようやく和らいできて、秋の気配も混じり始めた頃、三人でルームシェアを始めてもう一ヶ月が過ぎていた。駅から徒歩六分。部屋はゆったりとした造りで設備も整い日当たりもいい。それでいて築年数がすこし経っているせいで、家賃もそれほどは高くない。
坂口がこのマンションを見つけて契約まですぐに段取りをした。本来なら三人でのルームシェアは出来ない物件らしいが、見学して部屋を気に入ったまりあのためなのか、得意の交渉術で不動産管理会社を納得させたようだった。
上茶谷はカーテンを締めてソファに戻る。今日、まりあと坂口はそれぞれ別の飲み会があって不在。ふたりが揃って夜にいないのは初めてかもしれない。誰かと一緒に住むのは上島と以来。それももう随分前の話で、上茶谷は一人暮らしにすっかり慣れてしまっていたから、正直面倒な気持ちも強くあった。さらには一緒に暮らすのは、まりあと坂口だ。微妙な関係の三人。
本来ならこの光景をひとりで眺めていたはずなのに。そこまで考えて上茶谷は思わずひとりで笑い出してしまいそうになり、慌てて口元を引き締めた。すごーい! 綺麗! と夜景をみるたびにいちいち叫ぶまりあと、あ、ほんとですね、なんて淡々とそれに応じつつ、外のイルミネーションなんてそっちのけでソファでビールグラスを傾ける坂口まで一緒に住むことになるとは。
暑さがようやく和らいできて、秋の気配も混じり始めた頃、三人でルームシェアを始めてもう一ヶ月が過ぎていた。駅から徒歩六分。部屋はゆったりとした造りで設備も整い日当たりもいい。それでいて築年数がすこし経っているせいで、家賃もそれほどは高くない。
坂口がこのマンションを見つけて契約まですぐに段取りをした。本来なら三人でのルームシェアは出来ない物件らしいが、見学して部屋を気に入ったまりあのためなのか、得意の交渉術で不動産管理会社を納得させたようだった。
上茶谷はカーテンを締めてソファに戻る。今日、まりあと坂口はそれぞれ別の飲み会があって不在。ふたりが揃って夜にいないのは初めてかもしれない。誰かと一緒に住むのは上島と以来。それももう随分前の話で、上茶谷は一人暮らしにすっかり慣れてしまっていたから、正直面倒な気持ちも強くあった。さらには一緒に暮らすのは、まりあと坂口だ。微妙な関係の三人。