第251話
文字数 669文字
「コーヒーが胃にキツいならココアはどう? こないだスタッフの島田さんに貰ったの。ほどよくビターで甘いから疲れも取れるし、胃にも負担少ないからね」
上茶谷はあえて明るい調子でそう言い上島のココアを作るために立ち上がろうとしたら、手首を掴まれた。思いの外 、強い力に上茶谷は目を見開き顔をあげる。上島も上茶谷の顔を見つめている。それから口元を軽く歪めるように微笑んだ。
「何も要らないから。ここに居てくれないか」
「……ホントにどうしたの?」
真面目な顔でそう問いかける上茶谷に、上島は別に大したことじゃないと首を振る。
「ちょっとめんどくさいことが重なってさ。そうしたら大悟の顔が見たくなっただけ」
本業やこの美容院の共同経営以外にも、新規事業参入を計画しているらしい上島は超多忙だ。あらゆる経営判断をミスなくできるかゲーム感覚でやっているだけと本人は笑って言うが、プレッシャーやストレスも相当かかっているのだろう。時折こうした弱さも上茶谷には垣間見せる。
「少し休みなさい。倒れるわよ」
「別に倒れたっていいさ。大悟に看病してもらうし」
ようやく楽しげな表情をみせた上島に、上茶谷は真面目な表情のままため息をついた。
「ちゃんと体調管理もしないと。社長が倒れたら会社も立ち行かなくなるわよ。もう若くはないんだから」
上島は笑みを残したまま視線を落とし、子供みたいな拗ねた口調で答えた。
「失礼だな、まだ若いっての。まあ確かにね。今、仕事もやっかい事がてんこもりで疲れているのは間違いないけど、あいつだよ。……なんなのあいつ。ブチ切れそうになったんだけど」
上茶谷はあえて明るい調子でそう言い上島のココアを作るために立ち上がろうとしたら、手首を掴まれた。思いの
「何も要らないから。ここに居てくれないか」
「……ホントにどうしたの?」
真面目な顔でそう問いかける上茶谷に、上島は別に大したことじゃないと首を振る。
「ちょっとめんどくさいことが重なってさ。そうしたら大悟の顔が見たくなっただけ」
本業やこの美容院の共同経営以外にも、新規事業参入を計画しているらしい上島は超多忙だ。あらゆる経営判断をミスなくできるかゲーム感覚でやっているだけと本人は笑って言うが、プレッシャーやストレスも相当かかっているのだろう。時折こうした弱さも上茶谷には垣間見せる。
「少し休みなさい。倒れるわよ」
「別に倒れたっていいさ。大悟に看病してもらうし」
ようやく楽しげな表情をみせた上島に、上茶谷は真面目な表情のままため息をついた。
「ちゃんと体調管理もしないと。社長が倒れたら会社も立ち行かなくなるわよ。もう若くはないんだから」
上島は笑みを残したまま視線を落とし、子供みたいな拗ねた口調で答えた。
「失礼だな、まだ若いっての。まあ確かにね。今、仕事もやっかい事がてんこもりで疲れているのは間違いないけど、あいつだよ。……なんなのあいつ。ブチ切れそうになったんだけど」