第79話
文字数 668文字
リカコはそう言ってまた一本、タバコをケースから取り出した。
「……リカコさんとの共同経営にすればいいじゃないですか。ここまで頑張って店をやってきたのはリカコさんなんだから」
早口でそういう上茶谷をリカコはまるで姉のような穏やかな表情でみつめ、優しく微笑んだ。
「そういうとこ、カミちゃんらしいよね」
「それは……」
上茶谷が言葉を重ねようとするとリカコが微笑みながら首を振った。
「カミちゃんは独立しないで一緒にやってくれる。そう思って私、ずっと甘えてきたの」
リカコは上茶谷を静かに見つめながら呟いた。
「カミちゃん義理堅いから。私が必死にやっているのをみて置いていけないって思ってたでしょ?」
そんなふうに言われて、逆に不貞腐れてしまった中学生のような表情で視線を外す。
「……以前、話したじゃないですか。父が借金つくって返せなくなって、抵当に入ってた母の店まで取られそうになったって」
上茶谷の父親が作った借金が焦げ付き、母親と共同名義だった土地と美容室兼自宅まで差し押さえられてしまったため、独立どころでなくなったのは事実だった。
「……だから独立する余裕なんて無かったんです。リカコさんが気にする必要なんてないんですよ」
借金返済の目処がつくほんの数年前まで上茶谷はかなり無理をして、毎月母親に送金してきた。借金で苦労をしてきたゆえに、資金を借金してまで独立などしたくないという気持ちもあった。リカコはゆっくり首を振った。
「カミちゃんがその気になったら資金調達くらいできたと思う。上島くんだっていたしね」
上茶谷は苦笑しながら首を振る。
「……リカコさんとの共同経営にすればいいじゃないですか。ここまで頑張って店をやってきたのはリカコさんなんだから」
早口でそういう上茶谷をリカコはまるで姉のような穏やかな表情でみつめ、優しく微笑んだ。
「そういうとこ、カミちゃんらしいよね」
「それは……」
上茶谷が言葉を重ねようとするとリカコが微笑みながら首を振った。
「カミちゃんは独立しないで一緒にやってくれる。そう思って私、ずっと甘えてきたの」
リカコは上茶谷を静かに見つめながら呟いた。
「カミちゃん義理堅いから。私が必死にやっているのをみて置いていけないって思ってたでしょ?」
そんなふうに言われて、逆に不貞腐れてしまった中学生のような表情で視線を外す。
「……以前、話したじゃないですか。父が借金つくって返せなくなって、抵当に入ってた母の店まで取られそうになったって」
上茶谷の父親が作った借金が焦げ付き、母親と共同名義だった土地と美容室兼自宅まで差し押さえられてしまったため、独立どころでなくなったのは事実だった。
「……だから独立する余裕なんて無かったんです。リカコさんが気にする必要なんてないんですよ」
借金返済の目処がつくほんの数年前まで上茶谷はかなり無理をして、毎月母親に送金してきた。借金で苦労をしてきたゆえに、資金を借金してまで独立などしたくないという気持ちもあった。リカコはゆっくり首を振った。
「カミちゃんがその気になったら資金調達くらいできたと思う。上島くんだっていたしね」
上茶谷は苦笑しながら首を振る。