第213話
文字数 711文字
「ダイゴさんへの気持ちが中途半端なものならさっさと断ち切ってしまえ。そうじゃないなら賭けてみろって言われているように聞こえてきたんです。上島さんは本気でダイゴさんに向き合ってるのをはっきり感じました」
まりあも上茶谷が感じたこととほぼ同じような意味で上島の言葉を捉えていたことに驚く。
「だからわたし、上島さんに言いました」
まりあはまっすぐに上茶谷に視線を向けた。
「上島さんとではなく、わたしはわたしと賭けをするって」
上茶谷はまっすぐに向けられるまりあからの視線が眩しくて思わず瞳を細めてしまう。
「どんな形でもいい。ダイゴさんの傍にいるためにすべて賭けます。友達だって構いません。それなら一番近くにいる友達でいたいんです」
まりあの眼差しはなんの混じり気もない、上茶谷へのひたむきな好意しかなかった。それを感じた瞬間、
「だめよ」
まりあの表情がゆっくりと曇っていく。上茶谷は心臓が引き絞られるような痛みを感じながらも、それが顔にでていないように祈る。そうして呼吸を整えて言葉を続けた。
「……私の近くに居すぎてはだめ。そんなことをしていたら恋人も呆れてしまうでしょ。まりあもいい歳なんだからちゃんと考えて……」
まりあはすぐに首を横に振った。
「恋人なんかいらない」
まりあも上茶谷が感じたこととほぼ同じような意味で上島の言葉を捉えていたことに驚く。
「だからわたし、上島さんに言いました」
まりあはまっすぐに上茶谷に視線を向けた。
「上島さんとではなく、わたしはわたしと賭けをするって」
上茶谷はまっすぐに向けられるまりあからの視線が眩しくて思わず瞳を細めてしまう。
「どんな形でもいい。ダイゴさんの傍にいるためにすべて賭けます。友達だって構いません。それなら一番近くにいる友達でいたいんです」
まりあの眼差しはなんの混じり気もない、上茶谷へのひたむきな好意しかなかった。それを感じた瞬間、
あの
疼きが上茶谷の内側で瞬き始める。彼は手のひらをギュッと握りしめ瞳を伏せる。しばらくふたりの間に沈黙が落ちる。冷静になって考えなくてはいけない。友達だといいながら彼女の時間を奪うことがまりあの幸せだと言えるだろうか。上茶谷は心を落ち着かせてからゆっくりと顔をあげる。心配そうに彼をみつめていたまりあと目が合う。上茶谷はそっと微笑んで小さく首を振ってみせた。「だめよ」
まりあの表情がゆっくりと曇っていく。上茶谷は心臓が引き絞られるような痛みを感じながらも、それが顔にでていないように祈る。そうして呼吸を整えて言葉を続けた。
「……私の近くに居すぎてはだめ。そんなことをしていたら恋人も呆れてしまうでしょ。まりあもいい歳なんだからちゃんと考えて……」
まりあはすぐに首を横に振った。
「恋人なんかいらない」