第204話
文字数 651文字
「まりあちゃん面白すぎる。参ったね」
笑いの渦からようやく解放されたらしい上島が、腑に落ちないという顔をしているまりあに笑いかけた。
「面白すぎるから特別にちょっとだけヒントをあげるよ」
「ヒント?」
慎重な小動物が穴ぐらからそっと外の気配を伺うような様子を見せたまりあに、上島はまたふきだしそうになったけれど口元を引き締めて言葉を続けた。
「大悟はどうしてまりあちゃんから距離を置こうとしていると思う?」
まりあは一瞬口ごもる。それからいやいやながら、というのがよくわかる表情で重い口を開く。
「女であるわたしに……許容範囲を超えて好かれてしまったから負担になったんじゃないですか。上島さんもわかってて聞いてますよね」
目を逸らしたい現実を口にすることは心を削るようで苦しくなる。俯向いてしまったまりあに上島はあっさりとした口調でこう問いかけた。
「もしその逆だったとしたら?」
「逆? それってどういう……」
ばっと顔をあげたまりあに上島はにこりと微笑む。
「ヒントはここまで。あとは自分で考えてみて。それからさっきの賭けの話。俺の方がはるかに分が悪いからね。本気の本気でまりあちゃんが大悟を引き止めにかかったら、高い確率でまりあちゃんが勝つだろうって俺は思ってる」
まりあはブンブンと首を横に振った。
「そんなの有り得ないです……。そもそも上島さんみたいないつも勝負に勝っているようなひとが、負ける賭けを仕掛ける意味がわかりません」
軽く睨むようにしてまりあがそう言うと、上島は少し真面目な表情になって答えた。
笑いの渦からようやく解放されたらしい上島が、腑に落ちないという顔をしているまりあに笑いかけた。
「面白すぎるから特別にちょっとだけヒントをあげるよ」
「ヒント?」
慎重な小動物が穴ぐらからそっと外の気配を伺うような様子を見せたまりあに、上島はまたふきだしそうになったけれど口元を引き締めて言葉を続けた。
「大悟はどうしてまりあちゃんから距離を置こうとしていると思う?」
まりあは一瞬口ごもる。それからいやいやながら、というのがよくわかる表情で重い口を開く。
「女であるわたしに……許容範囲を超えて好かれてしまったから負担になったんじゃないですか。上島さんもわかってて聞いてますよね」
目を逸らしたい現実を口にすることは心を削るようで苦しくなる。俯向いてしまったまりあに上島はあっさりとした口調でこう問いかけた。
「もしその逆だったとしたら?」
「逆? それってどういう……」
ばっと顔をあげたまりあに上島はにこりと微笑む。
「ヒントはここまで。あとは自分で考えてみて。それからさっきの賭けの話。俺の方がはるかに分が悪いからね。本気の本気でまりあちゃんが大悟を引き止めにかかったら、高い確率でまりあちゃんが勝つだろうって俺は思ってる」
まりあはブンブンと首を横に振った。
「そんなの有り得ないです……。そもそも上島さんみたいないつも勝負に勝っているようなひとが、負ける賭けを仕掛ける意味がわかりません」
軽く睨むようにしてまりあがそう言うと、上島は少し真面目な表情になって答えた。