第267話
文字数 565文字
上茶谷はまりあからそっと離れると彼女の瞳を覗き込む。もしかしたら上茶谷も不安なのかもしれないとまりあは思う。彼も女性を愛そうとしてもどうしても愛せなかった過去があるのだから。
まりあは形のいいその額にそっと口づけた。それからこめかみ、頬へと移動していく。上茶谷は心地よさそうに瞳を細めてそれらを受け止める。それから両手でまりあの頬を包み、互いの唇ぎりぎりまで近づいたその時だった。
ぐううう
まりあの腹が鳴った。それがストップボタンになったようにふたりはキスする手前、超至近距離で止まる。それから上茶谷が我慢できないというようにふき出した。
「まりあ、やっぱりお腹がすいてるんじゃない。だったら予約した店でご飯をたべればよかったのに。あそこ本当に美味しいのよ?」
「だ、だ、だ、だって! あの時は本当に頭に血がのぼっててお腹すいているのなんか忘れちゃったんですよ!」
恥ずかしさに顔を赤くして必死に反論するまりあをみて、上茶谷はクスクス笑いながら彼女の頭を撫でる。
「わかったわかった。ごめんなさい。私が悪かったわ」
「……その子供にするみたいな謝り方、絶対悪いって思ってないですね?」
「思ってるわよ。……ほら見て」
上茶谷は笑いながら立ち上がると、部屋においてあるインフォメーションブックからルームサービスのページを開いてまりあに見せる。
まりあは形のいいその額にそっと口づけた。それからこめかみ、頬へと移動していく。上茶谷は心地よさそうに瞳を細めてそれらを受け止める。それから両手でまりあの頬を包み、互いの唇ぎりぎりまで近づいたその時だった。
ぐううう
まりあの腹が鳴った。それがストップボタンになったようにふたりはキスする手前、超至近距離で止まる。それから上茶谷が我慢できないというようにふき出した。
「まりあ、やっぱりお腹がすいてるんじゃない。だったら予約した店でご飯をたべればよかったのに。あそこ本当に美味しいのよ?」
「だ、だ、だ、だって! あの時は本当に頭に血がのぼっててお腹すいているのなんか忘れちゃったんですよ!」
恥ずかしさに顔を赤くして必死に反論するまりあをみて、上茶谷はクスクス笑いながら彼女の頭を撫でる。
「わかったわかった。ごめんなさい。私が悪かったわ」
「……その子供にするみたいな謝り方、絶対悪いって思ってないですね?」
「思ってるわよ。……ほら見て」
上茶谷は笑いながら立ち上がると、部屋においてあるインフォメーションブックからルームサービスのページを開いてまりあに見せる。